「日本も金メダルを狙う実力がある」――。そう世界に示したメキシコ戦。ただし、“22分間”を除いて…【東京五輪】

2021年07月26日 江國 森(サッカーダイジェストWeb編集部)

68分に相手CBが退場し、勝負は決したかに見えたが…

最後はヒヤリとさせられたものの、強豪メキシコを下したU-24日本代表。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 経験豊富なオーバーエイジ3人を含む10人が海外組というU-24日本代表であっても、初戦は硬さがあったのだろう。メキシコ戦のパフォーマンスを見れば、3日前の南アフリカ戦との動きの違いは明らかだった。

「出足が遅かった」と田中碧が認めたように、エンジンがかかるまでに2~3分を要し、いきなりピンチを招いたものの、そこからは鋭い出足で、フランスを4-1で下したグループリーグ最大の難敵を相手に堂々と渡り合う。

 6分、酒井宏樹の縦パスを受けた堂安律の右足クロスに、久保建英が巧みに左足のアウトサイドで合わせていきなりの先制ゴール。「堂安選手が、自分のことを見てくれていると試合前にも言ってくれていた。素晴らしいパスが来たので落ち着いて決めるだった」とスコアラーが振り返った、狙い通りの一撃だった。

 さらにその3分後、今度は左サイドハーフで初先発の相馬勇紀が仕掛けてPKを獲得。堂安が豪快にネットを揺らし、2点のリードを奪う。
 
 注目はそこからのマネジメントだったが、強度を落すことなく、圧力をかけ続ける。中盤で特大の存在感を放った遠藤航と田中のダブルボランチだけでなく、堂安、久保、相馬の2列目、そして最前線の林大地の献身的なディフェンスも光った。

 吉田麻也を中心とした最終ラインも安定しており、初戦に続いて冨安健洋の代役を務めたCB板倉滉も、綻びを見せない。酒井宏樹と中山雄太の両SBは、アレクシス・ベガ、ディエゴ・ライネスというメキシコ自慢の両ウイングを封じ込めた。徐々に相手のラフプレーが増えたのは、自分たちのペースにならないことに苛立っていたからだ。

 後半は押し込まれながらも時間を進め、68分には相手CBが退場。これで勝負は決したかに見えた…。

 だが、その後の22分間のゲーム運びは拙かった。一人少ない相手に押し込まれ、85分にセットプレーから被弾。その後もピンチを招き、谷晃生のビッグセーブに救われたものの、後半アディショナルタイムにはあわや同点弾献上というシーンもあった。

【五輪代表PHOTO】U-24日本2-1U-24メキシコ|久保&堂安弾で2連勝! ボランチ遠藤は圧巻の存在感を披露
 

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