【バイタルエリアの仕事人】vol.7 山田直輝|「湘南にとっても、自分にとっても勝負の年」31歳で芽生えた責任感

2021年07月27日 渡邊裕樹(サッカーダイジェストWeb編集部)

自分のプレーで勝負の責任を負わないといけない

「より怖い位置へ入る事を意識している」という山田は、今季ここまでチーム最多タイとなる4ゴールを記録している。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 サッカーにおける攻守の重要局面となる「バイタルエリア」。ゴールや失点に直結する"勝負の肝"となるスペースをいかに攻略するか、死守するかは、多くのチームにとって不偏のテーマだろう。そんな「バイタルエリア」で輝きを放つ選手たちのサッカー観に迫る連載インタビューシリーズ「バイタルエリアの仕事人」。第7回は湘南ベルマーレの走れるテクニシャン、"10番"を背負うMF、山田直輝だ。

 10代で日本代表デビューを飾り、若くからその才能を買われていた"童顔の天才"は「こだわりがある」というバイタルエリアについて「仕事をする場」だと位置づけた。いろんな選手たちのプレーを見習い、自身が目指すべきプレーとは――。

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 バイタルエリアは、そこを起点に点が入るというか、そういうエリア。そこで仕事ができる人の映像は繰り返しチェックして見習っています。この選手をずっと見ていたという選手はいませんが、最近はベタですけどやっぱりイニエスタ選手。ポジションはひとつ下のイメージもありますが、そこからのパスは見習うところがあって、いつも試合前にプレー動画を見ています。

 映像で見ていても「え!! そこ見えてるの?」みたいなプレーだったり、あそこでターンできるんだと思ったり、意外とバイタルエリアに入ってきても時間があるんだなと、毎回思わせてくれるので、そういう映像を自分でも見て頭に残しておきます。

 イメージ通り上手くできる時もあり、自分にもできるはずだという自信があるからこそ、試合で出来なかったときに自分にすごくイライラするというか、そういう事はありますね。

 味方にどうして欲しいというのは特にないですが、僕の得意なプレーにスルーやフリックというのがあるので、それは、バイタルに入れるパスの時に多用しています。

 フリックして味方の選手に繋げて、自分がバイタルに入って行くというのが好きなプレー。バイタルに入る為に自分が絡んで、そこから入って行って、そこでの仕事をする。そういうことがチームにも求められているプレーだと思うので、もっともっとクオリティや頻度を上げていきたいと思います。

 プレーの質を上げるには、味方のボールを引き出すタイミングだったり、FWとの連係だったり……挙げたらきりがないほど要素はありますが、一番は自分がどれだけ周りが見えているかだと思います。最近はフリックやスルーも減ってきているので、もっともっと周りを見て、バイタルに仕事をしに行かないといけない。

 僕は攻撃的なポジションの選手なので、まずは攻撃の部分でより危険なエリアに出て行って、ミスを恐れず、ゴールの確率の高いプレーを心掛けています。

 バイタルエリアでボールを受けられることは1試合でそんなに多くはない。だから、できるだけゴールに直結する選択肢を持ち、ゴールの確率の高いプレーを選択するように、外に逃げるのは最後の選択肢にしています。

 サッカーはなかなか点が入らないスポーツなので、5本チャンスがあって1本成功して点が入る方が、バイタルエリアのプレーに関しては良いのかなと思っています。

 今季ここまでゴールが獲れていることに関しては、意識の違いかもしれません。今までは、クロスを上げる選手のフォローに入ったり、バイタルエリアでもう一個仕事をしたりということを考えていましたが、今はバイタルエリアだけでなくゴール前に入ることも意識しているのが大きいと思います。

 そのぶん、アシストの数はちょっと物足りない。ゴールとアシスト両方できれば良いですけど、今は必死に点をとることを考えています。

 けっこうファンの皆さんには、テクニックがあって技術のある選手と最初言われるですが、一緒にプレーしていた選手たちも最初はそう思っていたようですが、今ではフィジカルの選手とよく言われます。運動量は昔から自分の持ち味だったので、そこに対しては変化ないですけど、守備の面でもそれが生かせるようになってきたのは実感しています。

 特にどこかプレーが変わったというよりも、責任感とか、自分のプレーで勝負の責任を負わないといけないとか、そういう意識はすごく芽生えてきて、それがチームの為に走らなきゃいけない、戦わなきゃいけないということに繋がっているのだと思います。そんな気持ちがプレーにやっと出てきて、ピッチ上で体現出来ているのかなと感じています。
 

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