【セルジオ越後】五輪のキーマンは堂安。スペイン相手に決めたゴールは、勝ち抜く上で大きな武器になる!

2021年07月17日 サッカーダイジェストWeb編集部

相手が圧倒的にボールを保持しても凌いで凌いでワンチャンスをモノにすれば、試合には勝てる

日本の先制点を叩き出した堂安。苦しい展開で味方を助けるゴールとなった。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 オリンピック前の最後のテストマッチは、優勝候補のスペインを相手に1-1の引き分けとなった。相手は頭からベストメンバーではなかったし、決して勝ちに来たわけじゃなかったけど、本当に強かった。本番では、こういう相手に勝っていかなくてはいけないわけで、大会前に経験できたのは良かったんじゃないかな。

 前半は堂安のゴールでリードして折り返したけど、正直実力はかなりの差があることを見せつけられる結果になった。これまでのように大量点で勝てるような相手とは大違い。もっと早くこういう相手とテストマッチをやりたかったところだね。

 後半はお互いに多くの選手を入れ替えたけど、スペインは選手の顔ぶれが大きく変わってもパフォーマンスの質が落ちない。日本はどんどんミスが増えてピンチも数多く迎えた。なんとか粘り強く守って1失点で終えたけど、これもまたサッカーで、相手が圧倒的にボールを保持しても凌いで凌いでワンチャンスをモノにすれば、試合には勝てるんだ。スペインのような相手には、まだまだ日本が主導権を握るような戦いはできない。引いて粘り強く守って少ないチャンスをなんとか1点に結びつける。そういう戦いで勝機を見出せればいい。
 
 日本は後ろにオーバーエイジの選手を起用しているように、とにかく堅実な守備で簡単に点を与えず、少ないチャンスを活かすことを想定している。だから、スペイン戦のように先制点を取れば、この狙いは生きてくる。逆に、先に取られると厳しい状況に追い込まれてしまうのは明らかだ。

 ただし大会は相当な暑さのなか、中2日でこなさなくてはいけない。こういう試合が続いたら、目標の金メダルまでは厳しい道のりになるよ。おそらく、メキシコ、フランスはグループ内の強敵になる。どうしてもこの2チーム相手に勝点3が必要な状況になると、やはりボールを奪うためにそれだけ走力を擁する展開になり、体力的にも厳しくなってしまう。

 日本が上位まで勝ち上がるためにも、やっぱり重要なのは初戦の南アフリカ戦。この試合で勝ってこそ、メダルへの道も開けてくるよ。
 

次ページ数少ない好機をワンタッチで得点に結びつけられる能力は貴重だ

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