日本戦で大注目の早熟な18歳! “イニエスタの正統後継者”ペドリは何が凄いのか

2021年07月17日 エル・パイス紙

クラシカルな香りを漂わせたモダンなフットボーラー

EURO2020では全6試合に先発したペドリ。そのパフォーマンスは圧巻だった。(C)Getty Images

 ペドリがウェンブリーで涙を流した。スペイン代表がEURO2020の決勝進出を逃した後だった。この大会におけるペドリの活躍には目覚しいものがあった。プレータイムはフィールドプレーヤーとしてエメリック・ラポルタの630分に次ぐチーム2番目の629分を計時。準決勝を終えた時点での走行距離は大会最長の76.1キロを記録し、パス成功率(461分本中421本)もナンバーワンの数字を叩き出した。

 それでもペドリは飽き足らずにボールを要求する。バルセロナが反対し、ジョゼップ・グアルディオラ(マンチェスター・シティ監督)が辞退を勧めても、東京五輪に参戦する。またそれが終われば、バルセロナのプレシーズンキャンプに合流する。フットボールが楽しくて楽しくて仕方がないのだろう。

 もともと疲労から回復しやすい体質で、休息は不要なのかもしれない。バカンスにも興味がない様子で、故郷のテゲステで両親が経営するバーに立ち寄って美味しいものを食べることができれば満足なようだ。

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 それにしてもこの1年間の成長ぶりは驚異的だ。昨夏バルサに加入した当初、首脳陣の構想はレンタル修行に出すことだった。それがわずか1度のトレーニングでロナルド・クーマン監督の考えを改めさせ、その後の活躍に繋がった。

 周囲からの注目度は高まる一方で、英紙「ザ・タイムズ」が特集を組んだほどだ。その記事にはペドリのプレーについてこう綴られている。

「ペドリはほとんど走らない。彼の独特のリズムを持った魔法にかかると、その周辺でプレーの流れは凍結する。まるでスローモーションのように。シンキングスピードやスペースを察知する判断力ももちろん素晴らしいが、何よりも特筆すべきはボールを受ける前にどのようなプレーをすべきかイメージし、そこからまるで呼吸をするようにスムーズにアクションに移ることができることだ」

 ペドリはクラシカルな香りを漂わせたモダンなフットボーラーだ。判断力がスピーディーなだけでなく、常に最適なプレーを選択する。その素晴らしさは見た印象だけでなく、スタッツにも裏付けられる。芸術的かつアスリート的な要素を持ち合わせ、犠牲精神が旺盛で、一つひとつのプレーの精度も高い。スルーパスの質は極上で、コンビネーションプレーのエキスパートでもある。イタリア戦でもセルヒオ・ブスケッツとダニ・オルモと形成するトライアングルが相手の脅威となり続けた。
 

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