【岩本輝雄】疾走感ある攻撃に“遊び”も加えて充実一途のマリノス。逆転優勝に向けて絶賛進化中

2021年07月15日 岩本輝雄

選手たちの良さがより引き出された形で、完成度はさらに高まった

直近のアビスパ戦で6連勝を達成したマリノス。充実の戦いぶりで首位フロンターレを追走する。(C)SOCCER DIGEST

 世の中は五輪モードに入りつつあるなか、中断期間前のJ1で際立つ戦いぶりを見せていたのがマリノスだ。1-1のドローに終わった5月22日のレイソル戦以降、怒涛の6連勝をマーク。その間に指揮官がポステコグルーから松永暫定監督に代わっても、強さは変わらず。スタンディングでは2位に浮上した。

 直近のアビスパ戦は2-0の完封勝利。22分に相手のオウンゴールで先制し、28分にはエウベルのクロスにオナイウがヘッドで合わせて追加点をゲット。後半は得点できなかったとはいえ、危なげない試合運びで勝点3を上積みした。

 6連勝という結果を見ても分かるとおり、チームは今、充実の一途にある。ピッチ上で見せるサッカーでは、ポステコグルー体制からマイナーチェンジがあったように思う。

 以前は、相手からボールを奪ったら、迅速に縦に攻め込んでいた。相当な走力を要する圧倒的なスピード感がひとつの特長で、3トップで一気に攻め切るというか、それはそれで迫力があった。

 でも今は、全部が全部、縦に素早く、ではなく、状況に応じては、ひとつ横パスを入れるとか、ちょっと後ろに下げてやり直すとか。言うなれば、少し"遊び"が加わったよね。

 ポゼッションを大事にする姿勢は同じだし、パスのテンポも相変わらずスピーディ。そのなかで、相手ゴールに向かう過程でワンクッションが入る。それでいて、ボールを失わずにしっかりと動かせているのは、一人ひとりの能力が優れているからだろう。

 ほとんどの選手のボールスキルは高くて、ポジショニングも流動的。即座にスペースを見つけて、頻繁に動きながら正確にパスを出し入れしていく。

 マリノスに確固たるスタイルを植え付けたポステコグルーがいなくなって、どうなるかと思ったけど、選手たちの良さがより引き出された形で、チームとしての完成度はさらに高まっていると思う。選手たちも、今のほうがやりやすいようにも見えるし、相手からしても捕まえるのが難しいはず。
 
 個で見れば、オナイウが一回り、スケールアップした感がある。A代表での活躍で自信をつけたのか、プレーが堂々としているし、以前に比べてポストプレーも安定感が増してきている。ゴール前での動き出しも洗練されてきているし、アビスパ戦のヘディングでの得点も、"点が取れるポジション"でスタンバイできているよね。

 最終ラインの軸であるチアゴの奮闘も見逃せない。1対1の強さと的確なカバーリングでピンチの芽を摘み取る。6連勝の中でクリーンシートは4試合と、守備も隙がなくなってきた。

 自慢のアタッキング・フットボールは戦い方の幅を広げて、攻守の軸もしっかりしている。首位のフロンターレより消化試合がひとつ少ない2位マリノス。その差は9ポイント。逆転優勝の可能性は決して低くない。後半戦が楽しみだね。

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