「本当にしつこいな」引退間近のスペインの超大物ラジオMCが、最後にS・ラモスとペレス会長をねじ伏せる!

2021年06月30日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

ライバル局の同業者からも感謝と称賛の声

チームメイトに給与カットの提案を受け入れないよう勧めていたことをすっぱ抜かれたS・ラモス。(C)Getty Images

 スペインを代表する大物MCがまもなくマイクを置く。彼の名前はホセ・ラモン・デ・ラ・モレーナ。大手民法ラジオ局「オンダ・セロ」に所属し、年俸350万ユーロ(約4億3750万円)を稼ぐ、まさにスポーツジャーナリズムの"ガラクティコ"だ。

 だからこそ今年3月に引退を発表すると、スペイン・サッカー界に大きな衝撃を与えた。現在64歳。まだまだ現役を続けられる年齢だが、家族との時間を大切にしたいというのがその理由だった。

 彼の大物ぶりを示すエピソードは、最近だけでもふたつあった。ひとつ目は、セルヒオ・ラモスとのメディアを介した"バトル"だ。
 
 事の顛末はこうだ。デ・ラ・モレーナは『エル・トランシストール』の番組内で、S・ラモスとレアル・マドリーとの契約延長交渉が決裂状態にあることを報じた。そして両者の決定的な亀裂を示す例としてすっぱ抜いたのが、S・ラモスがチームメイトに対し、キリアン・エムバペの獲得資金に充てられるだけだから、クラブが全選手に行なっている10パーセントの給与カットの提案を受け入れないように勧めていたというニュースだ。

 みずからに確認を取ることなく情報を流したことに、S・ラモスは激怒した。しかしデ・ラ・モレーナは、まったくひるまなかった。後日番組の中で、S・ラモスとこの件について話し合ったことを明らかにしたうえで、こう挑発してみせたのだ。

「わたしは彼に番組に出て説明するよう提案した。だが拒否された。だから、だったら彼がこのニュースが虚偽だと主張していることだけでも番組で伝えたいと言った。でも彼は、そうではなくこの話題自体を取り上げてほしくないという」

「そこでわたしはこう言ったんだ。それは違う。わたしが何を言うか言わないかはわたし自身のテーマだ。君が指図することではない。君は虚偽だという。でもわたしに言わせれば、この話題を取り上げてほしくないというその主張そのものが、ニュースに信憑性を持たせている。虚偽だというなら、恐れずに番組に出て説明すればいい」

 デ・ラ・モレーナの大物ぶりを示すふたつ目のエピソードは、先週実現させたフロレンティーノ・ペレス会長とのロングインタビューだ。近年めっきりインタビューを受けなくなったペレスが今回出演を受諾したのは、デ・ラ・モレーナの長いキャリアに敬意を表するためだった。

 しかしそんな中でも、デ・ラ・モレーナはいつものように容赦ない質問を次々とぶつけ、しまいにペレスも「本当にしつこいな。周到に準備して痛いところを突いてくる」とぼやくほどだった。

 今回の引退の報に接し、ライバル局の同業者からも感謝と称賛の声が殺到した。巨匠が去っても、その意思は後世に受け継がれていくはずだ。

構成●ワールドサッカーダイジェスト編集部
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