【なでしこジャパン】波及する“澤効果”。不安は拭えずもW杯へ確かな手応えを掴む

2015年05月29日 本田健介(サッカーダイジェスト)

イタリア戦では澤の攻撃参加から決勝点が生まれる。

セカンドボールの奪取からサイドへ展開し、大儀見のゴールの起点となった澤。攻守両面でその存在はまだまだ大きい。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

「課題はたくさんある」(宮間)
「もっと点を取らなくてはいけなかった」(澤)
「完成度はまだまだ」(阪口)
 
 6月6日にカナダで開幕する女子ワールドカップへ向け、強化試合を行なった「なでしこジャパン」は、1-0でイタリアに勝利。4日前のニュージーランド戦に続き、2連勝で本大会を迎えることになった。しかし、イタリア戦後、選手たちの口から出てきたのは多くの課題や反省の弁だった。

【キリンチャレンジ2015】なでしこジャパン vs イタリア女子代表
 
 劣勢の時間が少なくなかったニュージーランド戦に比べ、イタリア戦はそこまで悲観するような内容ではなかった。特に多くのチャンスを作れた点は小さくない収穫で、1年ぶりに代表復帰を果たしたニュージーランド戦に続き、この日も先発に名を連ねた澤が絡んだ崩しには、大きな可能性を感じさせた。
 
「相手の中盤がダイヤモンドと聞いていたので、横に並ぶよりも(ダブルボランチを組んだ阪口)夢穂と縦関係の方が良いと考えていた」(澤)と、通常よりも前でプレーした澤の動きに合わせる形で周囲の選手も躍動。中盤右の川澄、右SBの近賀、FWの大儀見を合わせた4人の連係は良好で、イタリアの左サイドを幾度も崩しにかかった。
 
 そして52分には、澤のポジショニングの良さ、セカンドボールへの反応の鋭さが得点へとつながる。左SBの宇津木が挙げたクロスは一度、クリアされるが、ペナルティエリアの外で待っていた澤は、セカンドボールを素早く拾い、再び宇津木へ。そのクロスに大儀見が合わせ、ゴールネットを揺らした。澤の度重なる攻撃参加が実を結んだ瞬間だった。
 
 また、澤のボランチ起用により、宮間を中盤の2列目の左に入れることで、攻撃のバリエーションが増えている点もプラスに働いている。キープ力のある宮間がボールを持つことで、左SBの効果的な攻撃参加が促進され、現にニュージーランド戦では鮫島、イタリア戦では宇津木とそれぞれ左SBの突破やクロスからチャンスが生まれた。

次ページ本大会に向けて体力面は大きな不安。

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