どうした原口元気。キルギス戦で見受けられた違和感【編集長コラム】

2021年06月15日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

トップ下起用もどこかおとなしい印象だった

キルギス戦でノーゴールに終わった原口。もっと積極的に仕掛けてもよかったのでは? 写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 カタール・ワールドカップのアジア2次予選を8戦全勝(最終戦のキルギス戦は5-1で勝利)で首位通過。ホームでの初戦でシンガポールに引き分けた前回大会の同予選と比べれば危機らしい危機もなく、順風満帆の道のりを歩んできたと言っても間違いではない。

 キルギス戦ではオナイウ、川辺、小川らが活躍したが、とはいえ手放しで喜べる試合だったかと言えばそうではない。むしろ気になったのはいまひとつスピード感に欠けた攻撃。2人目、3人目の動きが少なく、眠気を誘うようなアタックにも見えた。

 なかでも気になったのが原口のパフォーマンス。ドイツのハノーファーでは昨季あたりからトップ下やインサイドハーフを主に任されていたからこそ、トップ下で起用されたキルギス戦で大きなインパクトを残してくれるだろうと期待した。味方との連係が発展途上という側面もあるだろうが、結果的にそこまで存在感を示せないまま後半途中に交代。ゴールもアシストもなく、ピッチをあとにした。
 
 2018年のロシア・ワールドカップ、日本のベスト16入りに大きく貢献した選手のひとりが原口だった。4-2-3-1システムの右サイドハーフとして、身を粉にして攻守の両局面でアグレッシブさを貫き、ベルギーとの決勝トーナメント1回戦では思い切りのいいシュートで豪快に先制弾を突き刺した。

 ロシア・ワールドカップを現地取材し、ベルギー戦後、当時27歳の原口がここから日本代表を引っ張っていくと勝手ながら確信していた。ところが、キルギス戦の原口はどこかおとなしく、アグレッシブさも豪快さもない印象だった。もちろん、ワールドカップ本大会とアジア2次予選ではテンションも違うだろう。それでも、この日の原口に対して著者が抱いた感想は「どうした原口元気。ギラギラ感が伝わってこない…」というものだった。

 前回のワールドカップ・アジア最終予選では4試合連続ゴールと本大会出場の立役者となった原口の経験はきっと、今回の最終予選でもチームの力になる。チームの競争意識を高め、南野や鎌田らレギュラー陣の危機感を煽る意味でも奮起を期待したいが、キルギス戦の出来では先行きが不安だ。味方にパスを捌くだけでなく、もっと独力で切り込んでもいいのではないか。そんなことはおそらく本人も分かっているだろうが、頑張ってほしいからこその指摘だ。

 積極果敢に仕掛けてゴールに絡み、チームを鼓舞する。良くも悪くもピッチに"危険な香り"を漂わせるのが原口元気というアタッカーだったはずだ。最終予選まではまだ時間がある。願わくば、かつてのギラギラしたプレースタイルを見せてほしい。

文●白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集長)

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