“連覇”を手繰り寄せるのは電撃復帰のベンゼマか、それとも――。【数字が語るEURO2020優勝候補の「切り札」フランス代表編】

2021年06月15日 手嶋真彦

W杯制覇→2年後のEUROでも優勝は、過去に2例のみ

ベンゼマの復帰により、さらに厚みを増したフランスの強力攻撃陣。主要大会2連覇なるか。(C)Getty Images

「優勝候補の筆頭はフランスかな」
「いわゆる世界王者だし」
「エムバペ、グリエーズマンに代表復帰のベンゼマが加わって、破壊力も倍増しそう」
 
 あえて水を差すとするなら、歴史を持ち出す必要がありそうだ。実際、ワールドカップを制した世界王者が2年後のEUROでも優勝した連覇の例は、過去に2例だけしかない。

「いや、もしかすると連覇の可能性は十分あるかもしれません」

 横から割り込んできたのは数字だ。連覇の可能性は十分? まあ数字の話を聞けるのも今回が最後だし、いつものように耳を傾けるとするか――。



 EURO2020が1年遅れでついに開幕した。それはそうと、なぜ「数字」が口を挟んできたのか、企画の趣旨をかいつまんで説明すると――。
 
・EURO2020の優勝候補は8か国(と言われている。とりあえずそこは疑わない)。
・ワールドカップやEUROの歴史を紐解くと、意外なヒーローや彗星のごとく出現したラッキーボーイも大会の行方を決定づける切り札となってきた。
・それならば大会をより楽しむために、優勝候補8か国の誰もが知っている切り札(ポルトガルならクリスチアーノ・ロナウド)を踏まえつつ、意外なヒーローやラッキーボーイの候補者たち、すなわち隠れた切り札にもなりえる選手を予想しておこう。
・予想は数字に重きを置く。
・具体的には個人勝率の比較を用いることにする。
・遠い過去まで遡りすぎると最近の実情から離れてしまいかねないので、各国とも直近30試合を分析対象とする。そのうえでEURO2020エントリーメンバー1人ひとりの①出場した試合の勝率、②出場しなかった試合の勝率(不在時勝率)を当該国内で比較する。
・原則的には個人勝率の高い選手、不在時勝率の低い選手の中から、隠れた切り札の候補者を探し出す。
・データの精度を高めるために、親善試合は分析対象の直近30試合からすべて除外する。
・同じ狙いでUEFA加盟国のFIFAランク下位15か国(いわゆる弱小国)との対戦も、分析対象からすべてカットする。
・実際に勝率を比較してみると、意外な発見がいくつもあった(フランス代表メンバーの個人勝率一覧はこちら詳しい企画趣旨はこちら)。

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