ミュラー、フンメルス…救世主は構想外から復帰した栄光の戦士たち?【数字が語るEURO2020優勝候補の「切り札」ドイツ代表編】

2021年06月15日 手嶋真彦

2014年W杯の優勝を知る、栄光の戦士は5人

大物の復帰でも注目を集めるドイツ。6大会ぶり4度目の欧州制覇なるか。(C)Getty Images

「ドイツはミュラーとフンメルスが鍵を握ってくるのかな?」
「一度は構想外にしたふたりをあえて呼び戻したわけだから、そうなのかもしれないね」
 
 EURO2020のドイツの登録メンバーには、2014年ワールドカップの優勝メンバーが5人いる。GKのマヌエル・ノイアー、CBのマティアス・ギンターとマッツ・フンメルス、MFのトニ・クロース、そしてFWのトーマス・ミュラー。栄光の戦士たちだ。

「ただ、過信は禁物かもしれません。」

 横から割り込んできたのは数字だ。過信は禁物? ブンデスリーガでは、とりわけミュラーが大活躍していたというのに? だとしたら、今回ばかりは数字の話を聞かないわけにはいかないな――。 



 EURO2020が1年遅れでついに開幕した。それはそうと、なぜ「数字」が口を挟んできたのか、企画の趣旨をかいつまんで説明すると――。
 
・EURO2020の優勝候補は8か国(と言われている。とりあえずそこは疑わない)。
・ワールドカップやEUROの歴史を紐解くと、意外なヒーローや彗星のごとく出現したラッキーボーイも大会の行方を決定づける切り札となってきた。
・それならば大会をより楽しむために、優勝候補8か国の誰もが知っている切り札(ポルトガルならクリスチアーノ・ロナウド)を踏まえつつ、意外なヒーローやラッキーボーイの候補者たち、すなわち隠れた切り札にもなりえる選手を予想しておこう。
・予想は数字に重きを置く。
・具体的には個人勝率の比較を用いることにする。
・遠い過去まで遡りすぎると最近の実情から離れてしまいかねないので、各国とも直近30試合を分析対象とする。そのうえでEURO2020エントリーメンバー1人ひとりの①出場した試合の勝率、②出場しなかった試合の勝率(不在時勝率)を当該国内で比較する。
・原則的には個人勝率の高い選手、不在時勝率の低い選手の中から、隠れた切り札の候補者を探し出す。
・データの精度を高めるために、親善試合は分析対象の直近30試合からすべて除外する。
・同じ狙いでUEFA加盟国のFIFAランク下位15か国(いわゆる弱小国)との対戦も、分析対象からすべてカットする。
・実際に勝率を比較してみると、意外な発見がいくつもあった(ドイツ代表メンバーの個人勝率一覧はこちら詳しい企画趣旨はこちら)。

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