【独占ロングインタビュー】酒井高徳が語るシュツットガルトでの3年半|完結編「自分はひとりなんだと痛感した」

2015年05月25日 遠藤孝輔

「ガツガツやるところが、俺を本当に奮い立たせてくれた」

気心知れたクラブスタッフの河岸氏(右)も同席したインタビューで、酒井選手は胸襟を開き、本音を語ってくれた。

 前編・中編とお届けした酒井高徳の独占ロングインタビューは、この後編でついに完結!
 
 胸の内を吐露した最後に、彼は何を語ったのか――。
 
インタビュー:遠藤孝輔
協力:河岸貴(シュツットガルト国際部門)
 
酒井高徳【独占ロングインタビュー|前編】
 
酒井高徳【独占ロングインタビュー|中編】
 
――◆――◆――
 
河岸「ところで、ゴウが3年半もドイツで活躍できた理由は何だと思う?」
 
酒井「もともとユース時代から外国人とサッカーをするのが好きだったからかな。アジアじゃなくて、ヨーロッパ遠征でイタリアとかとやるのが楽しかった。
 
 ガツガツやるところが、俺を本当に奮い立たせてくれたんです。やればやるほど、モチベーションが上がっていく感じで」
 
河岸「まさにツヴァイカンプのところだね」
 
酒井「それが大事だってタカさん(河岸氏)から聞いていたし、自分がやっていても、俺はできるタイプだって思った。口で言う人はいますよ。でも、なんか腰が引けていたり、実際はできていないタイプが多いんです。なんか本気じゃないというか。本気でぶつかった時って、実は痛くないんですよ。まったく気になりません」
 
――1対1に関して、記憶に残っているエピソードはありますか?
 
酒井「最初のキャンプでの1対1のトレーニングですね。マジできつい練習でした。ゴールとゴールの距離が10メートルくらいしかなくて、どこから打っても入るようなエリアで40秒間。
 
 で、俺にとっての最初の相手が、190センチを軽く超えるような大柄な選手だったんですよ。もう、うわぁって思いました」
 
河岸「マテュー・デルピエールだったね。若手チームとベテランチームに分かれて、もちろん、ゴウは若手チーム」
 
酒井「その時は倒れてもいいし、やられてもいいから、思いきりぶつかって、思いきり押して、思いきりキープして、あとは自分の持っている技術をしっかり発揮できるように、フェイントをかけたりしました。
 
 それで2回目以降もマテューとやりたいと思ったのは、彼とやればやるほど、俺は強くなるって感覚があったからです」
 
――怯んだりはしませんでしたか?
 
酒井「怖いとかはなかったですね。むしろ早く慣れたい気持ちが強かったです。とにかく、きつかったですけど」
 
河岸「相撲で言うぶつかり稽古だよね。お相撲さんはそれが勝ち負けに直結するけど、ゴウを含め、こっちの人たちも同じように思っている。だから、上手投げ、つまりパス回しの練習も大事やけど、基本的には1対1のデュエルのところだと」
 
酒井「その練習で骨折する選手もいましたからね」
 
河岸「ブラ(ハリド・ブラルーズ)やね」
 
酒井「鼻が折れたり。腕か指だったか、手首を折ったヤツもいた。打撲はいつも」
 
河岸「スネ当てつけろって言われていたね」
 
酒井「でも、誰もスネ当てをつけなかった。"名物対決"もありましたよ。ボカ(現マラガ)と慎司さんの1対1とか。もうバチバチで」
 
河岸「危なかったよね、あれは」
 
酒井「危なかった。あれは本当に。お互い? いや、違うな。慎司さんが出てくると、ボカが『おい、俺が相手だ』って横からしゃしゃり出てきていた」
 
河岸「で、慎司はボカを避けようとするんだけど……」
 
酒井「そう、違う選手とやろうとするけど、ボカにずっと張られていて(笑)」

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