どこかすっきりしないタジキスタン戦。皮肉な形で大迫、遠藤、吉田の偉大さを知らしめてしまった【編集長コラム】

2021年06月07日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

古橋は今後も期待できる働きを見せたが…

いくつかチャンスに絡んだのは事実だ。それでも浅野(写真)が大迫ほどの存在感を示せなかったのもまた事実だろう。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 タジキスタン戦の日本はU-24代表とのチャリティーマッチから先発を8人入れ替えており(サブメンバー主体のメンバー構成)、それで苦戦しようものなら──。すでにグループ首位で最終予選進出を決めていたとしても、たとえ相手が同グループ2位のタジキスタンだとしても、「所詮、日本はこんなものか」というような感じで批判されるはずで、その意味で選手たちに相応の重圧がかかる試合だった。

 結果はホームで4-1。もちろんワールドカップ予選でなにより求められるのは結果なので勝利したのは素晴らしいが、それでもどこかすっきりしなかった。内容を振り返れば、攻守の両局面で少し落ち着きがなかった印象で、実際、今回の2次予選で初失点を喫している。

 攻撃面では最前線でのタメがいまひとつ作れず、守備面では中盤と最終ラインの連係が不十分。皮肉な形で、大迫、遠藤、吉田の偉大さを知らしめてしまった。
 
 中盤右サイドの古橋は1得点・1アシストを決め、トップ下の南野も決して簡単ではないシュートで決勝弾を奪うなど、それなりに仕事をした選手はもちろんいた。なかでも古橋は今後に期待を抱かせるパフォーマンスだった。しかしチームとして見た場合、どこか力強さに欠けた。

 そうなった原因はおそらく大迫、遠藤、吉田のセンターライン3人がいなかった点にあるだろう。彼らはいずれも森保ジャパンに不可欠な戦力で、代役など現時点でいない。とはいえ、この3人がワールドカップ最終予選の全試合に出られる保証はなく、不測の事態を想定してマネジメントするのが森保監督の使命のひとつである。

 主力不在をどう乗り切るかという点で、タジキスタン戦は課題が見え隠れする試合でもあった。ボランチは遠藤が欠場しても守田、柴崎らで体裁は整えられそうだが、大迫、吉田のどちらかが欠場した際のダメージを最小限に抑える手立てはまだ見つかっていない印象だ。その点で森保監督の手腕には不安があると言えるだろう。

 個人的には、ここで1失点しておいてむしろ良かったと思う。一筋縄ではいかない最終予選に向けて、ある意味このへんで少し躓いておいたほうがいい側面もある。タジキスタン戦の1失点でこの日の守備陣はさらに奮起するだろうし、それがチームの活性化につながればそれはそれでいい。ただし──。CFの2番手、CBの3番手(2番手は冨安)が確立されていない現状は決して看過できない。

文●白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集長)

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