【G大阪】エースの目覚めとともに息を吹き返した三冠王者の“逞しさ”

2015年05月21日 サッカーダイジェスト編集部

停滞した流れを打破した宇佐美の一発。

FCソウル戦で2ゴールを挙げた宇佐美。前半とは打って変わった姿で、後半は躍動感に溢れたプレーを見せた。(C) Getty Images

 手堅い試合――。前半はまさに、そんな表現が似合うような展開だった。最初の45分間で、G大阪が放ったシュートはゼロ。ホームのFCソウルもわずか2本で、ノックアウトラウンドの初戦という重圧からか、見ている側からすれば、見せ場の少ない物足りなさすら感じる試合だった。
 
 そんな停滞した流れを打破したのは、アウェーのG大阪だった。62分。左サイドを破った左SBの藤春が、ゴール前でうまくスペースを生み出した宇佐美へ、ドンピシャのクロスを上げる。冷静に、そして慎重に。宇佐美は送り込まれたボールを、渾身の右足ボレーでゴールにねじ込んだ。待望の先制ゴール。この一発が動きの少なかった試合展開に、大きなうねりをもたらす。
 
 長谷川健太監督は、このように振り返っている。
「前半は身体が重そうで、なかなかガンバのサッカーができていなかった。ソウルのブロックも非常に固くて、なかなか崩せなかったんですが、もっとしっかりとボールをつないでリズムを作りながらチャンスを窺おうという話をしました」
 
 さらに、宇佐美の出来についても、こう明かした。
「前半を見ていたら正直、代えようかと思うくらいミスも多かったですし、身体も切れていない感じでした。コンディションが万全でないなかで、ああいう形で結果が出せるということは、少したくましくなったのかなと思っています」
 
 前半は完全に眠っていたチームが、エースの目覚めとともに息を吹き返したのだった。73分にも再び藤春が、ファーサイドに回り込んだ右SBの米倉に合わせて2点目が生まれる。
 
 藤春は「ふたつのアシストとも狙い通りです。いつもはパスが速いけど、今日はパスがゆっくりだったので、中がしっかり見えていました」と言う。元韓国代表DFのチャ・ドゥリとマッチアップしながらも、停滞していた流れの時にしっかりとゴール前の状況を見極めていたからこそ、後半にチームが奪った重要な2得点を演出できた。
 
 さらに86分には、遠藤からのパスを受けた宇佐美が、1対2の数的不利の状況から、勇敢にドリブルで仕掛ける。最後は左足でトドメの一発。宇佐美は満足そうに語った。
「後半はチームとしていい崩しができていた。(1点目は)落ち着いて決めることができましたし、(2点目は)1対1みたいな形で、勝負することしか考えていなかった」
 
 決して簡単ではない韓国でのアウェー戦で、3-1の価値ある勝利。しかも相手は、一昨年のアジア準優勝クラブで、過去に一度たりとも8強進出を逃したことのないFCソウルだ。そんな難敵を第1戦で圧倒し、これでG大阪が初優勝した2008年以来となる8強進出に大きく前進した。絶対的優位の状況で、第2戦は5月27日にホーム万博記念競技場で開催される。
 
 停滞した前半の悪しき流れを打開し、後半は一気に圧倒する――。昨季国内3冠を達成したG大阪が、そんな逞しさまで身に付けている。
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