浦和の柴戸海がリカルド監督の下で加速度的に成長中!守備専門から万能型へ

2021年05月31日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

ロドリゲス監督からお墨付きも

飛躍的な成長を見せる柴戸。名古屋戦では巧みなターンで度々相手のチェックを剥がしてみせた。写真:徳原隆元

[J1第17節]浦和0-0名古屋/5月30日/埼玉

 リカルド・ロドリゲス監督率いる今季の浦和レッズにおいて、中盤に欠かせない戦力になりつつあるのが、ボランチの柴戸海だ。

 17節の名古屋グランパス戦では、4-1-4-1システムのアンカーで先発すると、中盤の広範囲をカバーリングし、ピンチの芽を摘み続けた。4-2-3-1となった後半も変わらず持摩の対人能力を披露し、チームの完封に貢献した。

 ただし評価したいのは、相手のチェックを剥がす巧みなターンだ。柿谷曜一朗や相馬勇紀らの寄せをヒラリとかわし、左右にパスを散らし、度々攻撃の起点となっていた。簡単に相手の逆を突く様子は、余裕すら感じさせた。

 もはや若手とは言えない大卒4年目の選手だが、今季はロドリゲス監督が標榜するポゼッションサッカーのなかでビルドアップ能力が格段に向上中なのだ。試合の度にプレーが洗練されている印象で、その成長速度に驚かされる。

 柴戸がポゼッションサッカーの中心となるのは、ある意味、驚きである。もちろん実力的には浦和というチームの核を担うべき選手ではあるものの、これまではどちらかと言えば守備専門のボランチとして鳴らしてきた。ボール奪取力やスタミナに定評があった一方で、ボールスキルについては粗さがあり、ボールをつなぐスタイルとの適合性は疑問視されていたのも事実だ。

 実際、開幕前はボランチとしては技術的に物足りず、右SBとして考えられていた時期もあったほどだ。開幕直後もボランチか右SBのサブの立ち位置が続いていた。リーグ戦でようやく初先発を掴んだのは7節の鹿島戦で、それまでは2度の途中出場でわずか17分しかプレーしていなかったのだ。
 
 ところが、その鹿島戦で4-1-4-1システムのアンカーで起用されると、持ち前の運動量とボール奪取力を生かしてピンチの芽を摘み続け2-1の勝利に貢献する。ボールを奪ってからも冷静に味方につなぎ、パス能力の成長を証明してみせた。

 その後、スタメンに定着すると、ロドリゲス監督からは「ボールを持っているときの彼の立ち位置や、状況によって高さを変えるところなどはすごく成長している選手のひとりだと思います。彼の良いところは走れて戦える選手で、広い範囲を守れる。それプラス、今回で言うと武田(英寿)、(小泉)佳穂と3人でうまくボールを動かしながらゲームを支配してくれた」(5月19日ルヴァンカップ横浜FC戦後)というお墨付きも受けている。

 もちろん、いまだに未熟な部分もある。縦パスが味方と合わないシーンも少なくなく、名古屋戦ではボールを奪われてピンチを招いた85分に象徴されるように、自陣深くでも相手をかわそうとしてボールをロストする場面も散見された。

 それでも技術的にメキメキと力をつけ、万能型へと進化しつつある今の柴戸を見ていると、すぐにこうした課題もクリアしてしまうだろうと期待が膨らむ。加速度的に成長を続けるボランチから目が離せない。

取材・文●多田哲平(サッカーダイジェスト編集部)
 

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