「こんな選手がいたら味方は楽」。FC東京戦の川辺には満点に近い評価をあげたい

2021年05月30日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

サッカーの教材にすべきプレーの数々

気の利いたプレーで広島の中盤を引き締めた川辺。写真:田中研治

[J1リーグ17節]FC東京0-0広島/5月30日/味の素スタジアム

 広島の川辺はひと言で「素晴らしいMF」だ。5月30日のFC東京戦を現地取材して、改めてそう思った。

 技術的に優れているのはもちろん、読みの鋭さ、危機察知力、味方のサポート時の距離感などが目を見張った。自陣に攻め込んでくるD・オリヴェイラに力勝負ではなく"間合いとタイミング"で勝負するセンスも含め、天晴れである。

 ゴールやアシストがなくても、この日の川辺には満点に近い評価をあげたい。味方からボールを引き出すためのポジショニング、パスをもらった瞬間のトラップの向き、その後のパス出しは、サッカーの教材にすべきレベルだ。派手なプレーがそこまでなくても、こういう選手はチームに不可欠。それを、ここでは強く主張したい。
 
 トラップの向きひとつでそのあとの局面は変わるし、ポジショニングひとつで味方のプレーの幅も変わる。川辺はまさに"潤滑油"として絶大な存在感を発揮し、チームメイトを気持ちよくプレーさせていた印象だ。

 ドリブルでガンガン仕掛けるわけでもなく、お洒落なスルーパスで決定機を作ったわけでもないが、それでも「こんな選手がいたら味方は楽だろう」という意味で、川辺のプレーは圧巻だった。

 この試合、シュート数(FC東京が3本、広島は14本)が示すとおり、内容では広島が明らかに上回っていた。最終局面でFC東京の粘り強い守備を崩せずスコアレスドローに終わったが、大半の時間帯で広島が優位にゲームを進められたのは川辺の気の利いたプレーがあったからに他ならない。

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)

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