優勝を決めるチャンスを逃した南野。自らの足で“期待の若手”のラベルを外せるか?

2015年05月18日 山口裕平

同点で迎えたロスタイムにビッグチャンス到来。しかし南野のシュートは…。

南野は優勝が決まる大一番でビッグチャンスを迎えたが決め切れず。アルタッハ戦では、ヒーローになり損ねてしまった。(C) Getty Images

 この日、南野拓実はヒーローになりそこねた。決めればリーグ優勝決定という場面で迎えた決定機をモノにできず、南野は自らの手で優勝を決めるチャンスを逃してしまった。
 
 佳境を迎えたオーストリア・リーグの第33節、ザルツブルクは5月16日に敵地で4位のアルタッハと対戦。勝てば優勝が決まる大一番を迎えた。ベンチスタートとなった南野は68分、1-1の状況でピッチに送り込まれた。南野と同時に攻撃的な選手がもう一枚投入されており、ヒュッター監督の采配には「ここで勝って優勝を決めるぞ」という意思が表われていた。
 
 南野がピッチに入った直後、ザルツブルクは不運な形からリードを奪われてしまう。ペナルティエリア内で味方CBのプレーが、ファウルと判定されてしまいPKを献上。相手の決定的な得点チャンスを阻んだとしてレッドカードを受け、退場処分を受けてしまったのだ。相手選手との接触がなかっただけにザルツブルクは猛抗議したが、判定は覆らず。冷静にPKを決められ、ひとり少ない状況でリードを許すことになった。
 
 しかし、それでもあきらめないザルツブルクは87分に直接FKから同点に追いつき、さらに勝ち越しを狙う。そしてロスタイム、南野がエリア左からドリブルで侵入し、GKとの1対1という決定的なチャンスを作り出した。しかし、「角度が無かったのでニア上を狙った」という左足でのシュートはGK正面に飛んでしまい、ネットを揺らすことができず。試合はそのまま2-2で終了した。
 
 決めればリーグ優勝決定。再びスタメンを奪い返すためにも、自身初めてとなるタイトルを勝ち取るためにも、「大事な試合で結果を残していきたい」と語っていた南野にとって、これ以上ない場面だった。このビッグチャンスを南野は逃してしまったのだ。
 
「ああいうところですね」と自身も認めるように、これが南野の現状を象徴していると言えるかもしれない。

次ページひしめき合う同世代のライバルたち。若さは言い訳にできない。

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