本人が望むエムバペの参戦は? 強豪フランスは超逸材カマビンカの立場が危ういほど戦力が充実【東京五輪・対戦国紹介】

2021年05月31日 アントニー・クレマン(フランス『L'Equipe』紙記者)

主将が故障離脱でも攻撃陣は多士済々

EUROのメンバーから漏れたカマビンカ(右)の五輪出場の可能性は小さくないが、エムバペ(左)は…。 (C)Getty Images

 フランスは大きな野心をもって東京に乗り込む。豊富なタレントが揃っているため、メダルをもたらしてくれるという期待感を引き起こしているからだ。

 レ・ブルエ(ユース代表の愛称。小さなブルーたちの意味)は1996年のアトランタ大会以来オリンピックに出場していないが、それでも国際舞台の経験不足そのものに悩まされることはないはず。ほとんどの選手が、所属クラブでヨーロッパカップを戦っている実力者たちだ。

 対戦相手にとってはこれが心理的脅威で、しばしばボールを預けて守りを固める戦術に甘んじるため、フランスは攻撃的プレーを創り出す責任を負わねばならないが、ソリューションを見出すテクニックを備えている。

 だが、完全に引いて守備ブロックを固めてくる相手には、ときに苦戦もする。今年3月末のU-21欧州選手権(グループリーグのみが3月24日~31日に開催)もそうだった。初戦でデンマークに0-1と敗れたのだ。

 だが、続くロシア戦を2-0でモノにすると、アイスランドにも同じスコアで快勝。とくに際立ったのは、リールの攻撃的MFジョナタン・イコネの活躍だった。
 
 キャプテンのジェフ・レーヌ=アデライド(ニース)が2月に膝の重傷で戦線離脱した攻撃陣は、イコネのほかにも、アミンヌ・グイリ(ニース)やオドソンヌ・エドゥアール(セルティック)らテクニックに優れた選手に、ムサ・ディアビ(レバークーゼン)らの快足ウインガーを揃えている。

 中盤のタレントはさらに瞠目の対象だ。昨秋にA代表で鮮烈な活躍を見せた超逸材エドゥアルド・カマビンガ(レンヌ)がエスポワール代表に戻ったと思いきや、3月のEUROでは先発の座さえ失ってしまい、その間にモナコのオーレリアン・チュアメニがめきめき頭角を現わす、という具合だ。

 またレーヌ=アデライドに代わってキャプテンマークを巻いたのはマテオ・ゲンドゥジ(ヘルタ・ベルリン)だったが、そのMFも中足骨を折る重傷に見舞われた。オリンピック代表のメンバーリストは、A代表のEURO2021リスト発表に続くかたちで6月上旬に発表される予定だが、どうやら不確実性が漂っていると言えそうだ。

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