【柏 vs 湘南】高山薫&武富孝介|古巣に成長した姿を見せたふたりのアタッカー

2015年05月15日 小田智史(サッカーダイジェスト)

「レイソルは初めて移籍したチーム。感謝しかない」(高山)

「前半の途中までは少し空回りしていた」と振り返る高山だが、昂る気持ちをエネルギーに代え、昨季のホームスタジアムである日立台のピッチを駆け巡った。 写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

 互いの持ち味がぶつかり合った柏と湘南の一戦(結果は0-0の引き分け)、高山薫と武富孝介は特別な想いで日立台のピッチに立っていた。

 2013年はともに湘南でJ1を戦い、昨季は高山が柏、武富が湘南でプレー。選手としてレベルアップする場を与えてくれた"古巣"との対戦だったからだ。

【J1 PHOTOハイライト】1stステージ・12節

 キックオフの笛が鳴ると同時に、まずは高山の決意がプレーに滲み出た。ドリブルを仕掛ける山田直輝の動きに合わせて、センターサークル横から柏ゴールに向かって猛ダッシュ。最終ラインの中央を割ってスルーパスを追いかけた。カバーに来たDFに思わず手がかかり、ファウルを取られてしまったものの、気迫溢れるプレーはなおも続く。
 
 5分にはセカンドボールを追い掛けて球際に飛び込み、鈴木大輔と接触。元同僚は足を押さえて倒れ込み、イエローカードを受けるほどの激しさだったが、「気持ちが昂ぶっていたのは確かですけど、あれは正直全然ですよ。アイツが大げさに痛がっただけ。まあ、上手いなと思いました(苦笑)」と振り返る(両者はプレー再開の際に"和解"の握手を交わした)。
 
「たぶん俺らが前から行くから、バラ(茨田陽生)、クリさん(栗澤僚一)と後ろに人数かけて、つないでくるんだろうなと思っていました。前半は予想以上にハマらなくて、前で(ボールを)取りたい気持ちがある分、難しかったです」
 
 それでも、試合中に味方とイメージのすり合わせを行なってからは徐々にプレスが機能。1トップ(山田)+2シャドー(大槻周平、高山)も、自分たちの判断で2トップ+トップ下の形にシフトするなど、ゴールを奪うための工夫を見せた。
 
 71分、遠藤航のスルーパスに反応して最終ラインの裏に抜け出し、GKと1対1を迎えるが、ペナルティエリアに入った瞬間に試みたシュートは相手にセーブされてゴールを割れず。この日最大の決定機だっただけに、試合後は高山も悔しさを隠さなかった。
 
「あれは(航から)良いパスをもらって、決めなきゃいけないところ。スゲさん(菅野孝憲)も良いコースに入っていたんで、逆にもっと持ち出して、抜いてからシュートでも良かったかなと感じています。正直点を取れるチャンスはあったし、めちゃくちゃ悔しい」
 
 自身初の凱旋ゲームはホロ苦い結果に終わったが、試合前のスタメン発表で自身の名前がコールされた際、柏サポーターからは拍手が起こった光景は心に深く刻まれた。
 
「どうしていいか分からなかった(笑)」高山は、嬉しさと恥ずかしさを隠すように手元で小さく拍手し返したというが、「本当にありがたいですよね」と微笑んだ。
 
「レイソルは初めて移籍したチーム。1年しかいなかったですけど、試合にも出させてもらったし、感謝とリスペクトしかありません。そういった相手とやれたのは楽しかったです」
 
 次なる対戦は、7月29日の第2ステージ・5節。ホームのBMWスタジアム平塚に古巣を迎える際には、さらに成長した姿を見せることだろう。

次ページ前を向かせてくれた「武富コール」に感謝。

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