西野タイランドの命運を握る3人の海外組…フランス年代別代表歴のあるレスター所属21歳の招集に希望も

2021年05月19日 佐々木裕介

UAEでの2次予選に挑むタイ代表。後がない状況で西野監督はいかなるメンバーを招集するのか

タイ代表の3人の海外組。チャナティップ(左)、タナワット(中央)、ティーラトン。(C) Getty Images

 延期されていたカタール・ワールドカップアジア2次予選が再開される。AFC(アジアサッカー連盟)は各組一国集中開催を決定し、日本代表の残り試合は日本開催で行なわれることも発表された。

 シーゲームスだとかスズキカップだと揶揄されたグループGは東南アジア開催ではなく、UAE(アラブ首長国連邦)・ドバイでの開催で落ち着いた。長らく活動がなかったタイ代表は、4月12日に2次予選へ挑むラージリスト(47名)を発表、バンコク近郊で選考キャンプを行なった。現地メディアには連日、西野朗監督の写真が掲載され、期待の高さは感じられるのだが、もう後がない状況でどのようなメンバーを招集するのか気になるところである。今回はリストに名を連ねた海外組3名、チャナティップ(札幌)、ティーラトン(横浜)、タナワット(レスター・シティU-23)に注目した。

■プレミア覇者相手にベンチ入りを実現した"仏泰ハーフ"

 タナワットの名前に馴染みあるファンはそう多くはないだろう。ASナンシーの下部組織で育ち、ユース年代ではフランス代表にも選ばれた経歴を持つ21歳は現在、レスター・シティU-23に所属する。4月上旬のプレミアリーグ2試合ではトップチームへ招集されたことで(※4月3日のマンチェスター・C戦と同11日のウェストハム戦でベンチ入り)、タイ国内を大いに沸かせた攻撃的MFだが、今回のリスト入りは「A代表はタイを!!」と懇願するタイサッカー協会の想いを乗せた恋文的プロモーションだと推測。6月シリーズで彼が代表チームに加わることは考え難いだろう。
 

■ティーラトンの自信に満ちた姿~慣れた中東の地でも期待値は高い

 新横浜のピッチで見た彼の立ち振る舞いから、充実した日々を過ごしていることは一目瞭然だった。5月9日に行なわれた13節・神戸戦の41分だった。左サイドを猛烈に駆け上がり商売道具の左足で供給したクロスが、神戸のベルギー代表DF、フェルマーレンのオウンゴールを誘発。流れを手繰り寄せた素晴らしいプレーだった。

 試合はフル出場。抜群の存在感を示した前半だったが、後半は相手の両翼が進路に蓋を被せてきたこともあり、持ち味は影を潜めた。しかし心身ともにコンディションは維持しているように感じた。あとは代表チームでの彼の役割が明確化されれば心配はないだろう。プレスキックアーティスト・天野純がいるチームでセットプレー時の出番は少ないが、彼の左足は決して衰えていない。2次予選ではタイ代表を助ける大きな武器になるはずだ。
 

次ページアジアカップへの出場も危うい立場。エースはいまだ復帰せず…

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事