南葛SCは関東リーグの強者となれるか? 二度のJFL昇格経験を持つ元U-20日本代表DFが指摘する「圧倒的」になるためのピース

2021年05月23日 伊藤 亮

「関東にはハイレベルな選手が集結している」

今季東京ユナイテッドFCから南葛SCに移籍した田中優毅。スピードが武器のサイドバックだ。写真:滝川敏之

 南葛SCが新たに昇格した関東サッカーリーグ2部での戦いが始まった。チームは1年での関東サッカーリーグ1部昇格、さらにその先にJFL昇格までを見据えている。

 このいばらの道の先導役を担うことになる選手が今シーズン加入した。

 かつて二度JFLに昇格した経験を持つ田中優毅。Jリーグとも違う熾烈で過酷な大会を幾度も戦い、結果を出してきた男の目に映る関東リーグ、そして南葛SCとは――。

 経験に裏打ちされた言葉から、「圧倒的」なチーム像に近付くためのキーワードが出てきた。

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 南葛SCの2021年シーズンが始まっている。5月23日時点で4戦を戦い2勝2分け。東京都は4月23日から新型コロナウイルス感染拡大の影響で緊急事態宣言が発令されており、トレーニングが思うように詰めない難しい状況を考えれば、順調なスタートを切ったと言えるだろう。

「『圧倒的に強いチームで圧倒的な勝利を目指す』と監督も言っています。誰もが知っている素晴らしいメンバーとやれているので、毎日刺激をもらっています。僕も、もっと上手くならないとスタメンで出られないという危機感を持ちながら取り組んでいます。南葛SCのようなチームが上に上がっていけば面白い。その力になれればと決意して来ましたから」

 そう語るのは、今シーズンから新たに加入した田中優毅だ。以前のインタビューで岩本義弘GMが、
「昨年まで東京ユナイテッドFCの右SBでした。U-20日本代表にも選出され、ギラヴァンツ北九州ではJ2を戦っていました。そしてヴィアティン三重、松江シティFCの2チームで全国地域サッカーチャンピオンズリーグを勝ち抜き、JFLに昇格した経験があります」
 と、その豊富な経験値へ期待を寄せていた選手だ。Jリーグ、JFL、そして各地域リーグを経験してきたが、南葛SCが今シーズンから所属する関東リーグに関しては、どのようなイメージを持っているのだろうか。

「関東のレベルはやはり高いと思います。大学サッカーのレベルも関東は高いというのは、日体大時代から選抜などで各地域のチームと対戦した時から感じていました。同じことは社会人チームにも言える。全国には上手い選手がたくさんいますが、関東にはそういったハイレベルな選手が特に集結しているな、というのは身に染みて感じているところです」

 これまで経験した地域リーグは松江シティFCの中国リーグ、ヴィアティン三重での東海リーグ1部、そして東京ユナイテッドFCでの関東リーグ1部だ。

「個人的な印象として、関東はまずチーム数が多い一方で実力差が大きく開いていない。足元が上手く、キックも上手い高い技術を持った選手が多いので、しっかり繋ごうとする意識が強いチームが数多く見受けられるのも特徴です。単純に蹴る場面もありますけど、局面ではボールを大事にする意識は高いイメージです。それは精度などの差はあっても、関東リーグ1部、2部に共通しています」

"ボールを大事につなぐサッカー"は南葛SCも標榜するところだ。今も進化しようと日々のトレーニングに励んでいる。では、関東リーグでは同様のサッカーをするチームが多い、と分析する中で、森監督の言う『圧倒的に強いチームで圧倒的な勝利を目指す』チームの実現に必要なものは何なのだろうか。
 

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