浦和のユンカー、鹿島のピトゥカ…今季J1の新助っ人で要注目選手は?【識者厳選の5人】

2021年05月11日 河治良幸

卓越した観察眼と実行力なくしては不可能なゴール

Jデビュー戦で初ゴールを決めた浦和のユンカー。しなやかな動き出しでラストパスを呼び込む。写真:徳原隆元

 新型コロナウイルスの影響により、各クラブで期待の新助っ人の来日が遅れていた。だが現在ではそれぞれがチーム合流を果たし、Jデビューを飾り、さらには印象的なパフォーマンスを見せる選手も続々と現われている。

 今季のリーグを盛り上げてくれそうな新助っ人は誰なのか――本企画では、精力的な取材活動を続ける河治良幸氏に、J1で要注目の新外国籍選手5人をピックアップしてもらった。

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▼キャスパー ・ユンカー
(浦和レッズ/FW/27歳/国籍:デンマーク)

 ノルウェーリーグの得点王が、あまたあるオファーから日本のクラブを選んだ理由に、デンマーク人が長らく挑戦していない環境で成功したいと語っていた。西野努TDは来シーズンの得点王という期待をかけていたが、早速デビュー戦となったルヴァンカップの柏レイソル戦、さらにリーグ戦デビューのベガルタ仙台戦で連続ゴール。数か月のブランクを感じさせない決定力を見せつけた。

 特長はサイズ感を全く感じさせないしなやかな動き出しで、直前までマークされていても一瞬でディフェンスを外してラストパスを呼び込むことができる。驚くべきはそうした動き出しを、一緒に練習して間もない味方の選手とすでに築いていることだ。

 仙台戦のゴールについても武藤雄樹と小泉佳穂のお膳立てに感謝していたが、ゴール前でフリーになるタイミングが絶妙で、ストライカーとして卓越した観察眼と実行力なくしては不可能なゴールだった。

 ポストプレーやディフェンスの意識も低くないが、そうした側面での貢献にはまだまだ試合体力を付けていく必要がありそう。それでも相手のディフェンスに対する強さ、チャンスに決めてくれるストライカーがいることで、逆算したゴールの道筋がチームとして明確になる意味でも多大な効果をもたらしそうだ。
 
▼ジョン・マリ
(アビスパ福岡/FW/28歳/国籍:カメルーン)

 ナイジェリア生まれだが、移住したカメルーンで代表を経験したストライカーで、往年のパトリック・エムボマを彷彿とさせる身体能力とシュート力を武器に、公式戦デビューから3試合連続ゴールを記録。福岡は8人の外国籍選手を抱えており、現在マリはルヴァンカップでの出場がメインになっているが、今後はリーグ戦にも組み込まれていくと想定される。

 浦和戦で見せた反転からのボレーシュートに象徴されるようなアクロバティックなフィニッシュが一番のストロングポイントだが、カウンターから裏に抜け出すスピードもあり、乗せてしまうと相手が分かっていても止められない状態になりそう。181センチと特別長身ではないものの、上半身の厚みがJリーグでは規格外。まだ守備面に粗さもあるが、目が離せない新外国人のひとりだ。
 

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