【連載】識者同士のリーガ放談「バルサの優勝を決定付けた選手とは――」

2015年05月12日 豊福晋

バルサの選手はバレンシアの守護神に感謝すべき。

ネイマールのゴールなどでレアル・ソシエダに快勝したバルサは、マドリーがバレンシアと引き分けたためリーガ優勝が決定的に。命運を左右した選手とは――。 (C) Getty Images

豊福晋:前節は、"リーガの行方が決まった週"になりましたね。バルサがレアル・ソシエダに勝って着実に勝点3を積み上げた一方で、マドリーはバレンシアに引き分けてしまった。
 
ルイス・フェルナンド・ロホ:これで2試合を残して両者の勝点差は4。逆転するのはまず無理だろう。
 
豊福:カタルーニャの地元紙はどこも、『Campeon(チャンピオン)』の文字を1面に掲げていましたね。もうバルサの優勝は決定だと。
 
ロホ:私の『マルカ』などマドリード側のメディアは、マドリーの視点に立って、『Adios(さよなら)』。内容も、さっさとチャンピオンズ・リーグに切り替えた。
 
豊福:リーガの守備にフォーカスした前々回に言及しましたが、バレンシアは守備が安定している。マドリーが取りこぼすならこのバレンシア戦ではないかと話したその通りになりました。
 
ロホ:バレンシアは2-0から追いつかれてしまっただろう。こっちの予想通りとは胸を張って言えないところはあるね。マドリーはポストにも3回当てているし。ただ、GKのジエゴ・アウベスは決定的な働きをした。
 
豊福:クリスチアーノ・ロナウドのPKを止めましたね。ジエゴ・アウベスは現代で最強のPKストッパーのひとりでしょう。アルメリア時代を含めたキャリア通算で、40本のうち19本のPKを止めているんです! ほぼ2本に1本はストップするんですからね、驚異的です。
 
ロホ:相手がPKを蹴る最後の瞬間まで動かない、それが凄いんだ。そのうえに反射神経が鋭いから、ぎりぎりまで待っても反応できてしまう。
 
豊福:ロナウドがアウベスにPKを止められたのは、これが二度目です。通算で3本蹴って2本をブロックされている。PKの直前に、アウベスは右側を指差しながら「こっちには蹴らないでくれ」と言っていました。このあたりの心理戦も上手い。実際、ロナウドは3本ともアウベスの右側に蹴っているんですよね。
 
ロホ:しっかりと研究しているし、PKに対する絶対的な自信もあるんだろう。でなければ、50パーセントに近い阻止率など叩き出せない。
 
豊福:バレンシアのヌーノ監督は試合後、「アウベスはリーガ最高のGK」と称賛していました。アウベスの活躍がバルサのリーガ優勝を決定付けたと言っても過言ではないでしょう。バルサの選手は彼に感謝しないと。
 
ロホ:バレンシアの2点目が入ったとき、ルイス・エンリケはちょうど2-0で勝った試合(レアル・ソシエダ戦)後の会見をしていたんだ。ロッカールームで選手たちがそれを祝う声が届いてきて、質疑応答が一時中断した(笑)。
 
豊福:先月、たまたまバルサのロッカールームに入れてもらったんですが、会見場まではかなり距離がある。それでも声が届いたってことは、かなりの騒ぎだったんでしょう。
 
ロホ:バレンシアもCL圏内の4位争いを繰り広げているから必死だった。この勝点1はその意味でも大きい。5位セビージャとの差は3ポイントだ。
 
豊福:バレンシアはCL出場権を獲得して、『CLの賞金』、『ピーター・リムの財力』、『ジョルジ・メンデスのコネクション』の3本柱でしっかりと補強してもらいたい。久しぶりに欧州レベルで戦えるバレンシアを見たいです。

次ページストの余波、ピケとのアポがドタキャンに…。

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