【岩本輝雄】人生初のピッチサイドシートでの観戦! 間近で見たアマジュンやイニエスタの美技

2021年05月10日 岩本輝雄

交代で入ったアマジュンが好パフォーマンスを披露

ヴィッセル戦では2得点に絡んだマリノスの天野純。相手のオウンゴールにつながったロングパスは見事だった。(C)SOCCER DIGEST

 人生初の経験。マリノス対ヴィッセルの試合は、ピッチサイドシートで観戦した。いつもはメインスタンドのピッチに近い席のチケットを買っているんだけど、一度ピッチレベルで見てみるのも面白そうだなって。10,900円。今回は奮発したよ!

 いざピッチに入ってみると、なんか懐かしかったよね。下からスタンドを見上げてみたりする。現役時代は見慣れた光景がよみがえってくる。ああこんな感じだったな、とか。そういう意味でも、貴重な経験だった。

 ピッチサイドシートでの観戦は、予想通り、臨場感たっぷりで楽しかった。選手のボールを受ける前の動きとか、いつも以上によく見えた。個人的に注目していたのは、選手の目線。どこを見ながらプレーしているのか。改めていろんな発見があったし、これぞピッチレベルでの観戦の醍醐味だった。

 試合のほうは、マリノスの2-0の勝利。前半にオウンゴールで先制して、後半にアマジュン(天野純)が決めて完勝した。

 マリノスは、20分のマルコスの負傷交代が痛かった。でも交代で入ったアマジュンが好パフォーマンスを披露。1得点はもちろん、オウンゴールでの先制もアマジュンのロングパスが起点となった。自陣の右サイドでパスを受けて、すかさず逆サイドのティーラトンを走らせるサイドチェンジを繰り出す。そのティーラトンからのクロスが相手のオウンゴールを誘発した。

 アマジュンは、まずパスの引き出し方が上手かった。相手の背後からすっと降りてきて、フリーになってボールをもらう。その時点で、ティーラトンへのロングパスはイメージできていたと思う。マイボールにしてからパスを出すまで迷いがなかったように見えたし、速かったよね。

 そのスピード感こそ、マリノスの強みだと思う。他のチームなら、もしかしたらあの場面でショートパスをつなぎながらサイドを変えたりとかする。それもひとつのやり方だと思うけど、マリノスは違う。なるべく時間をかけずに、空いているスペースがあれば、そこに素早く運ぼうとする。相手の守備陣形が整う前に仕掛ける。

 そのアクションがたとえゴールにつながらなくても、相手からすれば、マリノスの一つひとつのスピーディな攻撃がジャブのように効いてきて、後半に疲弊してくる。その隙をマリノスは見逃さず、ストレートをぶちこむ。その決定打こそ、アマジュンのゴールだったと思う。

 それにしても、アマジュンのロングパスは見事だったね。僕もキックは得意だったけど、あのロングパスはたぶん、感覚的な部分も大きかったと思う。語弊を恐れずに言えば、スペースを目がけて"あのへん"という感じだったんじゃないかな。ピンポイントで合わせるのとは違うから。もちろん、短すぎても長すぎてもダメ。受け手のスピードを殺さないように。その加減は簡単ではないし、相応の技術がないと蹴れない。能力の高いアマジュンらしいワンプレーだった。
 
 一方のヴィッセルでは、この日、最も楽しみにしていたイニエスタが後半の途中から登場。分かってはいたことだけど、彼ひとり入るだけでチームの雰囲気は一変するよね。

 ハイライトは77分の古橋に出したスルーパス。動き出した古橋をさらに加速させてフィニッシュまで持ち込ませる正確さは当然として、スルーパスを出す前にボランチからボールを受ける時の動きが素晴らしかった。

 近くにいたマリノスの扇原や水沼、さらには同サイドの松原につかまらない場所。彼ら3人の三角形の真ん中に、ちょっとしたバックステップで動いてスタンバイ。密集地帯でもフリーになれるポジショニングは、もう別格。一瞬でもその位置にいてボールを受ければ、あとはなんでもできてしまう。バルサ時代にもよくやっていたよね。

 10,900円の席だったけど、77分のイニエスタのプレーを間近で見れただけでも、元は取れたようなもんだね。

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