バルサが誇る“18歳の至宝”ペドリは何が凄いのか? 異質な個性が混在した超逸材の魅力に迫る【現地発】

2021年05月07日 エル・パイス紙

頭の天辺から足の爪先までサッカーをするために生まれてきたプレーヤー

移籍1年目で瞬く間にバルサのサッカーにフィットしたペドリ。(C) Getty Images

 ペドリは捉えどころのない選手だ。ビルドアップ、ゲームメイク、フィニッシュと試合の局面は関係ない。ピッチの至るところに顔を出す神出鬼没ぶりを活かし、すべてのプレーに関与し、的確に速い判断を見せる。

 ボールを受ける時は前を向いている状態でも、ゴールに背を向けている状態でも関係ない。戦術理解度の高さを活かし、足下に収めるやコマのようにクルっと反転する。序盤、終盤と試合の時間帯は関係ない。無尽蔵なスタミナを活かし、90分間通してコンスタントにプレーする。

【動画】ペドリってどんな選手? 厳選プレー集はこちら
 所属チームがラス・パルマスでもバルセロナでも関係ない。天性のパスセンスを活かし、タクシーで旅をする人間が相手でも、プライベートジェットで旅行する人間が相手でも、つまりどんなレベルの選手であってもボールを介して瞬く間にコミュニケーションを取ってしまう。

 しかも驚くべきは、これだけのことを実にさらっとやってのけること。まさに頭の天辺から足の爪先までサッカーをするために生まれてきたプレーヤーと言っていい。

 体つきは終戦直後の人々ように貧弱だ。顔つきは年老いた官僚のように冴えない。しかしその実、インテリジェンスの塊で、彼のプレーを目にするたびに、われわれはサッカーを楽しむという感覚が呼び覚まされる。

 どう見てもスポーツジムに通ってそうにないし、人に頼みごとをするのもいかにも苦手そうだ。しかしその独特な体つきゆえにピッチをスイスイと動き回り、無駄なエネルギーの浪費を抑えている。

 氷上を滑るように軽やかに走ることができるので、ボールの扱いがスムーズで、常に相手の一歩先を読む。だからこそ、同じユニホームを身にまとった選手たちと息の合ったコンビネーションを奏でることができるのだ。

 シネマスコープ(現存しているかは知らないが)のように一瞥しただけで周囲の変化を察知し、ワンタッチで流れるような連携プレーを見せることができるのだ。すべてのチームメイトにとって理想のパートナー。ペドリとはそんな選手で、その役割に忠実になるに余りゴール前に侵入してもシュートすることを忘れ、パスを選択してしまいがちだ。しかしそのパスはマエストロ級のクオリティを誇るのだ。

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