【三浦泰年の情熱地泰】大谷翔平のメンタリティに感動!サッカー界は彼の言葉をどう捉えるか

2021年05月05日 サッカーダイジェストWeb編集部

「出ている試合は勝ち星が多いと言われたい」

今季は二刀流での挑戦でMLBを席巻する大谷。ベーブ・ルース以来の偉業に現地も沸き立っている。(C) Getty Images

「ショウヘイが出てる試合は勝ち星が多いと言われるように!」

 週末、彼のメジャーリーグでの活躍が取り上げられている番組の中で、そうインタビューに答えていた。素晴らしいことである。プロ野球選手にもこんな選手が出て来たのだと感じた。

 三冠王を何度獲得した。ホームランを何本打った。防御率がどうだった……。もちろん、こうした個人成績は、チームの成績にも直結する大事なことではあるが、果たしてその数字が勝利に貢献したものなのか? ここを無視してはならない。

 プロの世界では大事なことなのである。
 
 この時代に、そんな凄い選手が日本からMLBの世界へと渡った。スポーツ界の誇りとなるであろう。

 数週間前に松山英樹がマスターズを優勝したが、彼は連日、ここまで全試合に出場し、二刀流で投打にわたる活躍を見せている。これはベーブ・ルース以来、100年ぶりの快挙だという。

 僕が少年の頃、現役だった王貞治(ソフトバンクGM)さんがホームランの記録を更新する時に必ず出てきた名前が「ベーブ・ルース」だった。サッカー小僧でも知っている海外の野球選手が、記録更新へのライバルだったのである。

 サッカーで言えばブラジルの「ペレ」のようなレジェンドであるベーブ・ルースと比較されて、いまやアメリカの野球界で絶賛される彼は、正しくサッカーで言えば60~80年代のブラジルで活躍することだったり、今で言えばプレミアリーグで大活躍をしていることになるのであろう。

 おまけにサッカーで言えば、センターフォワードとGKで出場して、どちらでプレーしても代表になれるパフォーマンスと実力を持っている。

 クラブではセンターフォワード、日本代表ではGK。2メートル近い身長で足下のテクニックも絶品で、GKとしてはシュートブロックの反応もクロス対応も秀逸。センターフォワードをやればゴール前の得点感覚が抜群で、単独でも突破が出来る万能ストライカー……。

 サッカーの歴史上で、そんな選手が育成年代、子どものサッカーなら過去に存在した人がいたかも(?)しれないが、プロではまだ聞いたことがない。

 ルールは定かではないが、強い相手に対し、GKで先発してゴールを守り、残り10分でセンターフォワードになり、1-0で彼の得点で勝つという勝利の方程式が可能なら、ユニホームはフィールドとGKで同じ背番号を用意しなければならないだろう。漫画の世界でもまだ現われていないヒーローだ。

 野球界に現われたこの男。
「大谷翔平」
 何故、サッカー界で生きてきた僕が、野球界のヒーロー、いやスターの話に興味を抱いたのか。

 それは彼の言った「ショウヘイが出ている試合は勝ちが多いと言われたい」。

 このメンタリティに共感、感動したからだ。

次ページサッカー界は彼の存在から危機感を持つべきだ

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