覚醒する浦和の司令塔…小泉佳穂に備わってきた風格!アシスト以外から見える大きな貢献度

2021年04月26日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

10節までは0ゴール・0アシストだったが…

大分戦では先発出場。2アシストなどの活躍でチームを逆転勝利に導いた。(C)SOCCER DIGEST

[J1第11節]浦和3-2大分/4月25日/埼玉

 浦和レッズの新たな司令塔が覚醒の時を迎えている。

 今季浦和に加入した小泉佳穂が、J1第11節の大分トリニータ戦で見せたパフォーマンスは、圧巻のひと言だった。

 1-2のビハインド出迎えた75分、相手DF陣の背後を突く絶妙なクロスで槙野智章のゴールをアシストすると、82分には今度はゴール前に抜け出して、田中達也の決勝弾をお膳立て。見事にチームを逆転勝利に導いてみせた。

 特に槙野のゴールを演出したパスは絶品。GKとDFの間に落ちる絶妙なボールで、元イタリア代表のアンドレア・ピルロを彷彿させるようだった。

「イメージ通りで、嗅覚のある人だったらそこにいてくれるだろうなというところへ蹴ったら、槙野さんがいてくれました」

 小泉は絶品アシストについてそう振り返る。

 これまで両足のテクニックには定評がありパスワークの中心となっていたものの、決定的な仕事は少なかった。10節までの記録は0ゴール・0アシストである。しかし、ここに来て、小泉自身が、勝負を決めるプレーの必要性を強く感じているような印象を受ける。

 2アシストを決めた大分戦のあとでも「個人としては、まだまだ課題がたくさんある。チームを直接勝たせられるプレーが全然できていないので」と反省の弁を述べていることからも窺える。
 
 そうした決定的な仕事を求める意識が強まっているのは、チームの中心である自覚が芽生えてきたからだろう。

「相手の最終ラインを引っ張り出したかったんですけど、チームとしてどこをどう引っ張り出すのかという共有がまだまだだったというのと、個人としてもっとできたかなというところもあった。敵が出てこないのであれば、ボールを動かし続けておびき出すのも、今日だったら僕がコントロールすべきだったのかなと思っています」

 そうした自責の念こそ、チームを引っ張ろうという自覚の表われではないだろうか。

 実際にアシスト以外の仕事に目を移しても、大きな貢献度が見えてくる。

 ボランチを担った前半は、3分の西大伍の鮮烈なボレーシュートにつながるロングパスを供給し、スペースを埋めて守備でも奔走した。

 逆転した試合終盤には巧みなボールキープで時間を進め、チームに落ち着きをもたらし続けた。とりわけ相手を手玉に取った89分のプレーには、余裕すら感じさせた。

 さらに、この大分戦で記録した走行距離13.245キロメートルは、11節のリーグトップ。献身的に走り回りつつ、決定的な仕事もこなしてしまうのだから驚きだ。

 プレーの一つひとつが洗練され、チームに勝利を引き寄せる要素となっている。チームを代表する選手として、風格が備わってきた司令塔は、今後さらなる飛躍を遂げるだろう。

取材・文●多田哲平(サッカーダイジェスト編集部)
 

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