【セルジオ越後の天国と地獄】負けても“ドンマイ”では、結果はでないよ

2015年05月07日 サッカーダイジェスト編集部

監督の責任を問わないフロントのスタンス。本気でアジアを獲りたいの?

クラブ首脳陣にとってACLのプライオリティは低いのだろう。選手をはじめとする現場のモチベーションとは温度差を感じる(写真はG大阪)。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

 ACLのグループステージが終了し、ラウンド16に進出するチームが決まったね。日本勢は、すでに突破を決めていたレイソルと、最終節で城南に競り勝ったガンバが勝ち抜いた。ガンバは、開幕2連敗を喫した後にホームでタイのチームと引き分けたりしてスタートでつまずいたけど、上手く帳尻を合わせてきた。2クラブが次のステージに進んで、なんとかJクラブ勢のメンツを保ったね。
 
 グループステージで敗退した2チームは、ちょっと勝負弱さを感じたよ。レッズは最終節を待たずに敗退が決まっていたしね。最後にブリスベンに勝ってなんとか未勝利は避けられたけど、目標はタイトル獲得だったんでしょ。大型補強といって選手をかき集めたのは、いったいなんだったのだろう。そもそも、今季の補強は、各クラブの主力級とはいえ、基本的に契約満了の選手を獲っただけで、ワシントンやポンテといった実力者を揃えた当時とはわけが違うんだ。大型補強と言える代物ではなかったということだよ。
 
 アントラーズは最終節で勝てば突破できたのに、FCソウルに敗れた。かつてのアントラーズは"勝負強さ"の代名詞のようなチームと言われていたけど、ホームゲームでチャンスを生かせなかったんだ。これが今の力なんだろうね。
 
 試合後にはスタンドにサポーターが居座ってチームに抗議していたようだけど、それも当然だ。アントラーズはACLの敗退だけでなく、リーグ戦でも結果を残せていない。FCソウル戦の直前には、主力を温存して臨んだホームでのヴァンフォーレ戦でも敗れていた。ターンオーバーに耐えられる選手層を揃えられなかったんだ。
 
 そもそも、アントラーズやレッズだけでなく、今はどのクラブも予算がカツカツで良い選手を獲得できていない。アントラーズが世代交代を進めたのは、予算を抑える側面もあったはずだ。資金に余裕があるのなら、もっと優秀な助っ人を揃えるはずだからね。
 
 それにしても不思議なものだ。Jリーグで首位のレッズが、ACLでは早期敗退してしまう。結局、Jリーグのクラブにとって、ACLはプライオリティの低い大会なのかもしれないね。
 
 選手は「アジアを獲りたい」と口を揃えるけど、クラブのスタンスはそうではないんだ。南米や欧州の名門クラブがチャンピオンズ・リーグやリベルタドーレス杯で早期敗退したら、それこそ監督がクビを切られる。でも、Jクラブは、ACLの敗退では監督の責任を問わない。負けても"ドンマイ"。そんな姿勢では、アジアで勝てないのも当然だよ。
 
 まあ、クラブがそんなスタンスでも、選手たちはモチベーションを保って戦っている。グループ1位通過の結果を残したガンバとレイソルの選手たちには、頑張ってほしいよ。ガンバはFCソウル、レイソルは水原三星と、ともに韓国勢との対戦だ。アントラーズとレッズが敗れた相手に、どんな戦いを見せるのか注目だね。

【ACL最終節 PHOTOハイライト】G大阪 2-1 城南FC
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