「人件費が収支の6~7割なんて」ESL撤退も…ユベントス&インテルの幹部が現モデルに“時代遅れ”と警鐘!

2021年04月22日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

「サッカーはデフォルトから危機にある」と懸念

ESLは撤退も現在のモデルへの危機感を露わにしたユベントスのパラティッチSD(左)と、インテルのマロッタCEO(右)。 (C)Getty Images

 欧州スーパーリーグ(ESL)は、少なくとも現時点で実現に至らないだろう。だが、離脱を表明した者たちは、その必要性を疑っていない。

 12のメガクラブが発表した構想は、大勢の怒りを買った。レアル・マドリーとバルセロナを除くクラブは撤退を表明しており、彼らが考えたかたちで新リーグを設立するのは事実上不可能となった。

 しかし、撤退クラブのひとつ、ユベントスのファビオ・パラティッチSDは、4月21日のセリエAパルマ戦を前に、『DAZN』イタリア版で「サッカー界のピラミッド全体、構造全体に手を貸そうとするための唯一無二の機会だったと思う。全クラブに有益な助けだった」と話している。(『Sky Sport』より)

「チャンピオンズ・リーグがリーグ優勝クラブから2~4位にまで開かれた経緯も衝撃的だった。ユベントスがロゴを変えたときもね。それらを消化するには時間が必要なんだ」

 また、同じく撤退したインテルのジュゼッペ・マロッタCEOは、同日のスペツィア戦の前に、Sky Sportで「サポーターの声のような重要な側面が多く軽んじられたから計画はとん挫した」とコメント。そのうえで「国内・欧州のモデルはもはや時代遅れだ」と主張している。
 
「人件費が収支の6~7割だ。このモデルは将来を保証しない。何かを生み出せる可能性を見つける必要があったんだ。サッカーはデフォルトの危機にある。それに基づいてのことだった」

 さらに、マロッタは「安定と継続性を生むモデルをつくるために、サッカー界の体制が動かなければ、前進することはできないだろう。もはや一定のコストを支えるのが不可能なんだ」と続けた。

「だから、調整ができていなかったにしても、この動きは善意が基本原則なんだ。だが、サポーターを最大に尊重してのことだった。とにかく、欠陥があったということだがね。そうでなければ、まったく違うようになっていたはずだ」

 また、トリノのウルバーノ・カイロ会長が構想参加クラブを「裏切り者」と厳しく非難したことについて、マロッタは「理解できない」と反論している。

「わたしは公にも私的にも匿名の脅迫を受けた。非常に深刻なことだ。わたしは裏切ってなどいない。ユダじゃない。モラルがあり、このスポーツを愛している」

 12クラブとそれ以外のサッカー界は、これからどのような道を歩むのだろうか。

構成●ワールドサッカーダイジェスト編集部
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