「誰がそんなものを見たいんだ」過去にESLを猛烈批判のクロップ、現在も「考えは変わらない」。“内側”から解決模索

2021年04月20日 サッカーダイジェストWeb編集部

リバプールOBキャラガ―は、サポへ“決起”呼びかけ

ESL設立に明確な反対意思を示しているクロップ監督。(C)Getty Images

 4月18日、世界中に衝撃が走った。欧州スーパーリーグ(ESL)構想が正式に発表されたのだ。

 開始時期は未定だが、プレミアリーグの"ビッグ6"と言われるアーセナル、チェルシー、リバプール、マンチェスター・シティ、マンチェスター・ユナイテッド、トッテナムに加え、セリエAからインテル、ミラン、ユベントス、ラ・リーガからレアル・マドリー、バルセロナ、アトレティコ・マドリーの計12クラブの参戦が決定。さらに、3クラブが加わる見込みとなっている。

 これに対し、各所から不満の声が噴出するなか、リバプールのユルゲン・クロップ監督も参加する側にありながら、以前と変わらず明確に反対の意思を示している。英衛星放送『Sky Sports』が伝えている。

 2019年、クロップ監督はESLを公然と批判。「スーパーリーグが起こらないことを願っている」と、チャンピオンズ・リーグ(CL)を引き合いに出し、疑問を呈していた。

「現在の運営方法では、CLにヨーロッパリーグと、フットボールは素晴らしい製品を抱えている。私にとって、CLはスーパーリーグであり、いつも同じチームと対戦するものではない。もちろん経済面は重要だが、なぜリバプールが10年連続でレアル・マドリーと対戦するようなシステムを作らなければならないんだ?誰がそんなものを毎年見たいと思うんだ?」
 
 それから2年、ドイツ人指揮官は「私の意見は変わらない」とし、改めて、毎年激しい戦いを勝ち抜き、やっとの思いで参加資格を得るCLの意義を伝えている。

「53歳の私が現役だった頃から、CLは存在していた。選手としてはそこに到達することは常に不可能だったが、監督としては常にそこでチームを指導することを目指している。だからCLには何の問題もないし、サッカーの競争というものが好きだ。ウェストハムが来年、CLでプレーするかもしれないという事実は気に入っている。正直なところ、(出場権を争うライバルの)彼らには叶えてほしくないけどね。でも、彼らにチャンスがあるのはいいことだ」

 そのうえで、大きく発展した欧州サッカーの根幹を揺るがす騒動に、"内側"にいる自分がすべきことを説いている。

「時代が厳しくなれば、その分、私はここに残ることに固執する。チームやクラブとファンとの関係に責任を感じているんだ。彼らにとって非常に厳しい時期であることは間違いないが、なんとか解決できるように手助けしたいと思う」

 また、リバプールOBでもある元イングランド代表DFジェイミー・キャラガーは、『Monday Night Football』に出演した際に、計画を推し進める各クラブのオーナーらを猛烈に"口撃"している。

「彼らがやっていることは、100年以上に渡ってこの国で見てきた組織を、基本的には泥の中に引きずり込み、そのクラブの歴史を燃やしているのだ。私はサポーターがこの問題を解決できると思っている。サッカーファンが集まって、TV、評論家、選手、監督、みんなで協力して、これを止めよう。今後、必要なのはスタジアムでのデモや、サポーターの団結だ。このようなことは許されない」

 文字通り泥沼化の様相を呈してきた今回の一大騒動。果たしてどんな決着を迎えるのか。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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