「タケは気持ちの整理がつかないだろう」久保建英の起用法にスペイン人記者が苦言!「最悪のシナリオに現実味が…」【現地発】

2021年04月17日 ラディスラオ・ハビエル・モニーノ

サイドに回っても、守備に奔走されただけ

カディス戦では早期交代となった久保。(C) Getty Images

 30節のカディス戦で、タケ・クボ(久保建英)はセカンドトップで先発出場した。どんなプレーを見せるのか期待が高まったが、同時に不安も募った。

 というのも、ヘタフェのホセ・ボルダラス、カディスのアルバロ・セルベラはラ・リーガを代表する慎重派の監督だ。その両指揮官のサッカー観が色濃く表れた両チームは、ボールを保持することよりもスペースを支配することで勝機を見出す。

 実際、この試合でGKはボールを持てば、ロングフィードを放り込むばかり。それはCBやSBも同様で、結果的にいかにセカンドボールを制するかのフィジカル勝負になり、このような展開ではタケのような選手は苦しむか、もしくは疎外感を味わうかのいずれかになる。従順な兵士のようにピッチを走り回るだけで、あとはボールが転がってくるのを待つしかない。

 そしてこうした展開では、えてしてセットプレー、相手のミス、こぼれ球から生まれた得点で決着がつくが、この試合もダビド・ティモールのオウンゴールで先制したカディスがそのまま逃げ切った。

【動画】翻弄された敵DFが思わず尻もち!前節のカディス戦で久保建英が披露したドリブル突破はこちら
 タケはこの厳しい状況の中で懸命にプレーしていた。鋭いフェイントでアルフォンソ・エスピーノに尻もちをつかせて切れ込んだが、グラウンダーのクロスは相手選手に引っかかった。パスコースが限られていたので、もっと積極性を出して違ったプレーを選択してもよかった場面だった。

 しかしその後も走り、戦い続けた。そもそもダイレクトプレーを基本戦術にするチームで上背のないタケに前線でプレーさせても意味はない。実際、前半30分過ぎにはタケはいつもの右サイドに移動し、セカンドトップ起用は文字通り絵に描いた餅に終わった。

 しかも問題は、サイドに回っても、守備に奔走されただけだった点。ドリブルで仕掛ける場面は限られ、これではよほどの閃きを見せないと攻撃で輝きを放つのは困難と言わざるを得ない。

 結局、タケは50分過ぎにピッチを退いた。その直前のプレーでは、右サイドをドリブルで突破してクロスを供給する"らしい"プレーを見せたばかりだった。タケのように1対1による仕掛けを売りにしているドリブラーが、このような形で交代を命じられては、なかなか気持ちの整理をすることはできないだろう。
 

次ページ半年間、ボールを追い掛け回すことだけを証明して…

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