カディスDFの人種差別は「証拠なし」とラ・リーガが発表…バレンシアは徹底抗戦「なかったことにはならない」

2021年04月10日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

「クソったれの黒人」発言の嫌疑に、本人は「メディア・サーカス」と否定

リーグは、カラ(右)のディアカビ(左)への人種差別疑惑は「証拠なし」と発表した。(C)Getty Images

 リーグの調査結果は、「証拠なし」だった。

 ラ・リーガは現地時間4月9日、バレンシアのムクタール・ディアカビに対するカディスのカラの人種差別発言疑惑について、差別を働いたとする証拠がないと発表した。英公共放送『BBC』や米スポーツチャンネル『ESPN』が報じている。

 4日に行なわれたラ・リーガ第29節の一戦では、ディアカビがカラに人種差別発言をされたと激高。仲間を支持するバレンシアのチームが一時ピッチを後にして抗議した。試合はその後再開されたが、ディアカビは交代。先制点を挙げたカラもハーフタイムに交代し、終了間際に追加点を挙げたカディスが2-1で勝利した。

【動画】カラに激怒するディアカビと、試合中にピッチを後するバレンシアのイレブン

 世界的に大きな騒動となった問題で、スペイン人DFは6日に会見を開き、「クソったれの黒人」と発言したとの見解や、差別行為を否定。騒動を「メディア・サーカス」と評した。
 
 これに対し、バレンシアは「信じない」と公式声明で反論。フランス人DFへの連帯を強調した。ディアカビ自身はSNSで「非常に傷ついた」と心境を明かし、適切な処分を求めている。

 だが、リーガは放送映像やソーシャルネットワークで広まっている映像など、入手可能な素材を検証した結果、カラがディアカビに差別発言した証拠は見つからなかったと発表した。読唇分析や選手たちの行為を分析する専門企業にも調査を依頼したという。

 それでもバレンシアは公式声明で「証拠が見つからなかったことは、なかったと意味するのではない」と主張。クラブの意見は変わらず、ディアカビを全面的に支持するとし、同種の差別問題の再発防止に向け、リーガや各クラブが連携して取り組むべきだと訴えた。

 サッカー界に関わる多くの人が、人種差別という許しがたい行為の撲滅を願っている。今回の問題は、どのような幕引きとなるのか。この件ではスペイン・サッカー連盟も調査している。

構成●ワールドサッカーダイジェスト編集部

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