【WSD編集長のCL展望】リバプールの強力3トップをS・ラモス抜きのマドリーが抑え込めるか。“因縁の大一番”のキーマンは「ブラジル人」だ

2021年04月06日 加藤紀幸(ワールドサッカーダイジェスト)

17-18シーズン決勝のリマッチはどちらが制す?

マドリーはカゼミーロ(左)、リバプールはファビーニョ(右)とそれぞれブラジル人MFが攻守の鍵を握る。 (C)Getty Images

 2020-21シーズンのチャンピオンズ・リーグ(CL)準々決勝が、いよいよスタートする。

 興味深いカードのひとつが、現地時間4月6日に第1レグを控えるレアル・マドリー対リバプールの一戦だ。17-18シーズンのファイナルで対戦した両チームが、ふたたび激突する。

 マドリーはその17-18シーズンを制してCL史上初の3連覇を成し遂げ、リバプールは翌18-19シーズンに決勝でトッテナムを倒して頂点に立っている。まさに、この舞台の勝ち方を知る者同士の戦いだ。ともに当時と比べるとパフォーマンスを落としているとはいえ、意地と意地がぶつかり合う激しいゲームになるのは間違いない。

 この一戦を前に人一倍燃えているのは、敗れた3年前の決勝でセルヒオ・ラモスに右腕をロックされたまま転倒して左肩を痛め、31分に無念の途中交代を余儀なくされたリバプールのモハメド・サラーだろう。直近のアーセナル戦(プレミアリーグ30節/3-0で勝利)で1ゴールを挙げるなどコンディションも悪くないだけに、マドリー守備陣にとっては最大の要注意プレーヤーだ。

 残念なのは、そのサラーの因縁の相手であるS・ラモスが、スペイン代表として臨んだ3月31日のコソボ戦で左ふくらはぎを痛め、リバプール戦の出場が第1、第2レグともに絶望的になってしまったこと。両者のマッチアップはこの一戦の大きな見どころだっただけに、肩を落としているサッカーファンは少なくないはずだ。

 ただ、だれよりも心中穏やかでないのはマドリーのジネディーヌ・ジダン監督だろう。百戦錬磨のキャプテンを欠いた状態で、リバプールの強力3トップをいかに食い止めるか。戦術的な大きな見どころだ。アタランタと戦ったラウンド・オブ16の第2レグや直近のエイバル戦(ラ・リーガ29節)で採用した3バックの布陣を選択する可能性もある。
 個人的に注目しているのは、「ブラジル人」だ。中盤に目を移せば、マドリーはカゼミーロ、リバプールはファビーニョがそれぞれ攻守の要として君臨する。良質なフィルターとして堅守速攻のスタイルを機能させるマドリーのカゼミーロは、ジダンのサッカーには依然として欠かせない存在だ。一方、CBで起用していたファビーニョを本来のアンカーに戻したリバプールは、以降、中盤が引き締まり、明らかに攻守のバランスが改善された。この両者を軸に激しい主導権争いが繰り広げられそうだ。

 エデン・アザールが離脱中のマドリーは、その代役を担いそうなヴィニシウス・ジュニオールも鍵を握るプレーヤーだ。鋭いドリブルを武器に敵陣に進入し、最後の砦として立ちはだかる同じくブラジル人守護神、アリソンの壁を突き破れるか。

 注目の第1レグはマドリーがホーム。マドリーはアウェーゴールを奪われないことが、ベスト4進出への近道になる。対するリバプールは、どうにか引き分け以上の成績を残して本拠地アンフィールドでの第2レグに臨みたい。

文●加藤紀幸(ワールドサッカーダイジェスト編集長)
 
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