「そんなに心配していない」三浦監督の見立て通りの成果。相模原はもはや守備だけのチームにあらず

2021年04月05日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

次節のアウェー栃木戦では今季初の完封勝利を

前節の新潟戦は、平松(23番)とユーリの得点で首位チーム相手に2-2の引き分け。貴重な勝点1を積み上げた。写真:滝川敏之

 昇格組のSC相模原が、待望のJ2初勝利を挙げた4節・大宮アルディージャ戦の数日前、三浦文丈監督は泰然と構えてこう言っていた。

「近づいているから、そのうち入りますよ。そんなに心配していない」

 何が近づいているのか。ゴールだ。開幕から3試合の戦績は2分1敗。京都サンガF.C.との開幕戦は0-2の敗戦、続くザスパクサツ群馬戦、ファジアーノ岡山戦はいずれもスコアレスドロー。チームカラーの"粘り強く"を武器にしぶとく勝点2を積み上げた一方で、3節終了時の総得点はゼロ。その時点ではリーグで唯一、ゴールを奪えていなかった。

 攻撃面、得点力は課題のひとつとして浮かび上がり、三浦監督も「ゴールがないのはちょっと気になる」と認めつつ、だが「そのうち間違いなく取れると感じている」と確信に満ちた表情で語っていた。

 はたして、迎えた大宮戦は2-1の勝利。1点を先行される展開だったが、終盤に平松宗、藤本淳吾がゴールネットを揺らして鮮やかな逆転勝利を収めた。

 その後の5節・ツエーゲン金沢戦は1-2の敗戦も、星広太が1得点。2-2のドロー決着となった直近の6節・アルビレックス新潟戦ではユーリがPKを決め、平松が今季2得点目をマークした。

 シーズン序盤戦はあれほど遠かったゴールが、最近では毎試合、奪えるようになってきている。指揮官の見立て通り。得点ゼロの時期でも、ゲームを重ねるごとに「ボックスの中に入っていけるようになってきた」など、攻撃面の手応えを実感していた。それがようやく目に見える成果として表われるようになってきた。

 新潟戦は首位に立つチームが相手だけに苦戦が予想されたが、立ち上がりにペースを掴んだのは相模原のほうだった。鋭いカウンターと効果的なサイドチェンジからチャンスを創出。8分には舩木翔のスルーパスからユーリが際どいシュートを放った。

 13分に先制を許したが、23分にユーリのPKで同点とすると、48分に平松のゴールで一時はリードを奪う状況に。その後、CKから失点を喫し、勝ち切れなかったとはいえ、勝点1を引き寄せる計2ゴール。現時点で新潟から複数得点できているのは相模原だけだ。
 
「このリーグに残るためには、守備の安定が絶対に必要」

 あくまでもチームの根幹を成すのは堅牢なディフェンスで、その構築に三浦監督は一切の妥協を許さない。守備の強度を高める作業はこれまでと変わらないが、同時に攻撃面でも着実に上積みがもたらされているのは事実。4月11日、敵地に乗り込む栃木SC戦では、今季初の完封勝利を手にしたい。

取材・文●広島由寛(サッカーダイジェストweb編集部)

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