鬼木達監督からのメッセージ。A代表デビュー戦ゴールの山根視来を押し上げた向上心

2021年03月27日 本田健介(サッカーダイジェスト)

「彼の努力を称えたいです」

代表デビュー戦とな韓国戦でゴールを挙げた右SBの山根。さらなる活躍を誓う。写真:金子拓弥 (サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

「彼の向上心はチームにも本人にもプラスになっていますし、彼の努力を称えたいです」

 川崎を支える右SBの山根視来が日本代表に初選出された際、指導する鬼木達監督は柔和な表情でそう評した。

 対人に強く、足もとの技術、攻め上がりのタイミング、走るコースなど、彼の真骨頂は数多くあるが、なによりの持ち味は「向上心」、そして「学び続ける心」と言えるのだろう。

 2020年に湘南から川崎に加入した際は、新加入選手であれば誰もが通る、川崎のパスサッカーへの戸惑いを覚えた。シーズン開幕から右SBのレギュラーを掴んだが、口癖は「まだまだです」。ゴールを奪うなど勝利に貢献した試合の後に話を訊いても、スタンスは常に変わらなかった。それだけ上を見続けてきたということである。

 行き詰まった際にはサッカーノートに、その時点の課題を書き込み、自らのプレースタイルを改めて整理してトレーニングに臨んだ。入団1年目の昨季、チームは圧巻の成績でリーグ戦を制し、山根も不動の右SBとしてプレーしたが、鬼木監督も思い悩む姿も目にしていたという。

「昨年の途中、一回、迷っているような時期もありましたが、悩んだことが逆に良かったのかなとも思います。自分自身もこのタイミングで、この要求をすると悩むかなという想いもありましたが、伝えなければ上に行けないと思い、その時は少しパフォーマンスは落ちましたが、自信につなげてくれました。だからパス回しひとつとっても変わったなと感じました」
 高いレベルを求め合う川崎でプレーすることで得られた自信、そしてその自信が目に見える結果として現われる。今季は7試合にフル出場してすでに4アシスト。鬼木監督も「昨年の後半から今年の頭、キャンプの時から変わってきたなと、顕著に表われていたので、ここまでの試合は彼らしいプレーが見えています」と目を細める。

 そしてクラブと同じ右SBで先発し、A代表デビューを果たした韓国戦での豪快なゴールである。トレーニングから最終ラインを組む選手たちを中心に密にコミュニケーションを取り、通常より「1.5倍」の強さで当たりにいったほうがいいとの吉田麻也の助言などを、真摯に受け止め、キッチリ実行したというのも彼らしいエピーソードである。

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