なぜ三笘、久保、三好らはアルゼンチン相手に通用しなかったのか? 少数精鋭の五輪登録18名に生き残れる選手とは…

2021年03月27日 佐藤俊

連係不足は選手側だけに問題があるのではなく…

左から久保、三笘、三好。アルゼンチンを相手に通用しなかったワケとは。写真:金子拓弥 (サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 三笘薫、久保健英、三好康児、田川亨介――。

 攻撃陣には旬の選手の名前がズラリと並んだが、U-24アルゼンチン代表戦でのプレーを見る限り、期待通りの活躍とはいかなかった。

 久保や三好は個人の突破が多く、チームとしてどう攻めるのか……。個々の選手もチームとしても、もうひとつ整理し切れていない感じだった。

 ただ、それは選手側だけに問題があるのではなく、エクスキューズがある。

 今回の代表活動は、海外組と国内組が日常から分かれて行動しており、会話ができるのは基本的に練習場と試合の時だけに限定されている。守備については、約束事を守り、練習の中に意志疎通をしていけばなんとか形になるが、攻撃ではそれほど簡単なことではない。お互いのプレーを理解しつつ、動きを仲間にフィットさせるなど、修正を繰り返していくなかで個々の理解を深め、コンビネーションを磨いていく必要がある。以前の環境であれば、練習で問題を解決しきれない時はホテルに戻り、食事や自由時間で話し合い、考えをすり合わせていくが、今回はその機会も時間もなかった。
 
 また、今回のアルゼンチン戦は前回のコロンビア戦から1年2か月ぶりの試合となる。そもそも活動時間がそれほど多くはない五輪代表の選手にとってみれば、その間隔があまりにも長く、今回は新顔の選手もいて、ほとんど真新しいチームだったと言えよう。

 試合前から大きな期待を集めた三笘。彼の怖さは、高い個人技術とスピードで局面を打開していく突破力だ。アルゼンチン戦でその輝きを見せられなかったのは、なかなかいいポジションでボールをもらえなかったこともあるが、いざボールを持った時に南米特有の球際の強さ、足の出し方などに戸惑い、相手の強い守備で自分のフォームバランスを崩されたからでもある。

 また三笘は、周囲に彼のプレーを理解し、連動してくれる仲間がいることで凄みに磨きがかかる。川崎ではドリブルを仕掛けながら味方選手の動きを見て、パスか、シュートか、の適切な判断を下し、それが結果につながってきた。

 だが今の代表には、三笘を理解してくれている家長昭博も大島僚太も小林悠もいない。

 左サイドバックには旗手玲央がおり、同サイドのふたりの関係性は良かったが、久保や逆サイドの三好とはいまひとつ呼吸が合わなかった。ドリブルで仕掛けてもその次の選択肢が限られているので、自分で行き切るしかなくなる。ボックス内に侵入しても手詰まりになり、奪われる。三笘にとってはストレスが溜まるゲームだったはずだ。
 

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