大迫、南野、鎌田の変則トリオの機能性は? 守備では不測の“ゼロトップ”に惑わされず

2021年03月26日 河治良幸

韓国の“ゼロトップ”は「正直、予想とは違った」が…

山根は代表デビュー戦での初得点が取り沙汰されるが、アウトサイドだけでなく必要に応じた中央の守備が機能していたことは高評価に値する。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 正直に言えば、韓国の物足りなさを感じる試合内容ではあった。ただ結果として与える印象はともかく、実態として日本サイドが自分たちの良さを出すことと、上手いバランスで相手に対応できていたことで、韓国に良いリズムを出させなかったとも言える。

 韓国が"ゼロトップ"で来ることは当然、森保一監督も選手も想定外だった。過去数試合の傾向から4バックと3バックの両方を考えられるなかで、4バックで来ることは「ウォーミングアップを見ていて4枚だな」と予想できていたというが、"ゼロトップ"については「正直、予想とは違った」と振り返る。

 選手たちに伝えるべき情報は伝えるが、そこに固執させないというのが森保監督の方針だが、やはりアジアカップのカタール戦(決勝/●1-3)などで選手も学んできており、相手の情報が限られるなかで、いざ試合に入ってみて選手たちがピッチ上で解決するというところで日本の経験値が大きく上回っていたのは明らかだ。

 韓国のパウロ・ベント監督としては日本側の混乱を誘いたかったようだが、逆に日本が「正直、予想とは違った」ことに惑わされることなく要所を抑えて、自分たちの良さを出していった。

 具体的には"偽9番"のイ・ガンインを冨安健洋と守田英正のところでシェアできていたし、10番のナム・テヒに関しては遠藤航と右サイドバックの山根視来で適度に受け渡しながら、吉田麻也が最終ラインから飛び出さないで済む状況を維持していた。

 代表デビューの山根は先制ゴールが取り沙汰されるが、アウトサイドだけでなく必要に応じた中央の守備が機能していたことは高評価に値する。「ポジションはありますけど、人なので、行かないといけないところは行ったほうがいい」と振り返るように、そこを山根がケアすることで、遠藤がボランチのチョン・ウヨンに対するプレスにある程度、比重を出せるようにしていたことが大きい。
 
 要するに、主にはイ・ガンインを冨安と守田、ナム・テヒを遠藤と山根で請け負い、吉田が全体を統率しながらカバーするという構図がこの試合の中でパッと機能したことで、韓国は有効なパスの出しどころを失ってしまい、かと言ってロングボールを当てるターゲットマンもいないというなかで、逃げのパスを日本の大迫勇也や南野拓実、鎌田大地に狙われる構図になった。

 伊東純也は守備において左サイドバックのホン・チョルをチェックしながら、必要に応じて山根をカバーする役目も担っていた。一方の左サイドは佐々木翔がイ・ドンジュンを見ながら、後ろから上がるキム・テファンは守田がスライドして見るのか、南野が見るのかを臨機応変にやっていた。
 

次ページ最終予選に向けてもひとつの積み上げになりそうだ

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