2ボランチが韓国を呑みこむ。ただ、歴史的勝利と大騒ぎするほどの試合では…【編集長コラム】

2021年03月26日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

センターラインの安定が勝因のひとつ

遠藤は韓国戦で素晴らしいパフォーマンス。試合を支配した。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 2021年3月25日、横浜で韓国を迎え撃った日本が3-0と勝利した。16分に大迫のヒールからA代表初出場の山根が強烈な先制弾を決めると、続く27分には鎌田が右足を一閃して2-0。そして終盤の83分には途中出場で代表デビューを飾った江坂のCKから遠藤がヘッドで叩き込んでダメを押すという展開だった。

 危なげない内容で、文字通りの完勝。この試合に限れば、素晴らしいパフォーマンスだったと言える。なかでも光ったのは、大迫のポストプレーとハイプレス、遠藤と守田のパスワークと寄せの早さだろう。落ち着いていた吉田と冨安のCBコンビを含むセンターラインの安定が、間違いなく勝因のひとつだった。

 特筆すべきは遠藤のパフォーマンス。組み立ての局面ではしっかりとボールをつなぎ、相手に寄せられても素早く叩いて取られない。ここでタメができることで、チーム全体が落ち着いているように見えた。

 また遠藤は守備の局面でも抜群の寄せでピンチの芽をことごとく摘んでいた。特に、敵陣でガッとプレスをかけ、ショートカウンターにつなげていた働きは見事という他なかった。しかも、終盤にゴールまで決めるのだ。「森保ジャパンの核は遠藤」と、そんな印象すら抱かせる出来だった。

 もちろん守田の好フォローも見逃せない。このMFが良い距離感で遠藤とバランスを取ってくれたおかげで中盤は安定していた。遠藤、守田の2ボランチが韓国を呑みこんだとそう表現しても大袈裟ではないだろう。

 途中出場でセカンドトップに入った江坂がそれなりに持ち味を発揮できたのも、2ボランチの絶妙なサポートがあったからではないか。いずれにしても、この日の遠藤と守田は素晴らしかった。
 
 素晴らしいと言えば、代表デビュー戦でいきなりゴールを決めた右サイドバック・山根のパフォーマンスもそうだ。その得点はもちろん、最後まで右サイドを何度も上下動した献身もさすがで、その実力を十分に示せたと言えるのではないか。

 ただ、いろんな方々の尽力のおかげで開催できた点には感謝しかないが、とはいえ歴史的勝利などと大騒ぎするほどの試合ではないだろう。親善試合で韓国に勝った。それ以下でもそれ以上でもない。

 少なくとも、昨年戦ったフレンドリーマッチ──カメルーン、コートジボワール、パナマ、メキシコとの一戦と比較するのはナンセンス。シチュエーションも違えば、相手の力量もおそらく違うわけで、比較対象にはならない。
 
 今回の韓国戦では流れの中から複数の決定機を作り、後半になってもチームとしてそこまで運動量が落ちなかった。しかしそれも来週のモンゴル戦に向けて弾みがついたというぐらいの収穫で、昨年の欧州遠征からの成長・進化とはならないというのが個人的な主張だ。欲を言えば、ソン・フンミンのいる韓国と戦いたかった。

文●白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集長)

【PHOTO】日本3-0韓国|2021年初戦は韓国相手に3得点で勝利!モンゴル戦へ向けて好発進!
 
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