ブレない信念、継続の力で“攻めて勝つ”。開幕4連勝で首位。今季の新潟はなぜ強いのか?

2021年03月22日 野本桂子

「新潟のサポーターが誇りに思えるようなプレーを見せたい」

盤石の強さで首位を走る新潟。次節の東京V戦で、またひとつ歴史を塗り替えられるか。(C)ALBIREX NIIGATA

 開幕から4連勝で首位に立つ。アルベルト・プッチ・オルトネダ監督体制2年目のアルビレックス新潟が好調だ。

 ボールを保持することで主導権を握り、連動したパスワークでゴールに迫る攻撃的サッカーは、成熟度を増している。今季は攻守の切り替えのスピードや球際での強度も上がり、ボールを失っても奪い返して二次攻撃へ転じる迫力も増した。新戦力の鈴木孝司や星雄次もすぐに結果で応え、チームの総得点はリーグトップの10得点を積み上げている。

 攻めて勝つ新潟。その好調なスタートダッシュのベースには、スペイン人指揮官の続投とチーム編成の成功がある。

 2003年から14年まで10年に渡り、FCバルセロナのスカウトや育成組織の要職を務めてきたアルベルト監督が掲げるのは「ボールを保持して試合を支配するサッカー」。昨季、新潟の指揮官に就任すると、そのスタイルを浸透させた。

「結果ばかりに感情を左右されるのは幸せではない。サッカーはエンタテインメント。FCバルセロナと聞いて、みなさんが思い浮かべるのは、優勝した記録ではなく、見ていて楽しいプレースタイルではないでしょうか。私も新潟のサポーターが誇りに思えるようなプレーを見せたい。それは、より攻撃的で、常に試合で主導権を握ろうとするプレーです」

 その信念はブレることなく貫かれた。

「最初はボールを回せなかったチームが、1年練習すると、あんなにつなげて攻められるようになる」。その成果には、寺川能人強化部長もうなった。16年以降、4年連続でシーズン途中の監督交代が行なわれてきたなかでは見られなかった、継続の力を実感した。

 昨年11月に強化部長に就任すると、真っ先に指揮官の契約を更新。さらにスタイルをバージョンアップできる選手を求め、新卒含む日本人選手9名を迎えた。的確な補強は「すべてがプラスになった。強化部に感謝したい」とアルベルト監督も評価する。
 
 なかでも高いビルドアップ能力を持つ千葉和彦の加入は、攻撃の大きな後押しとなった。センターバックでコンビを組む舞行龍ジェームズとともに、ボールを保持し続けることで相手にペースを渡さず、ディフェンスラインを押し上げる。

 そこから攻撃のスイッチとなるくさびを打ち込むことも、自ら前に運ぶこともできる。これによりボランチのひとりが前に出て攻撃に厚みを出せるようになった。4試合で2得点・3アシストをマークするトップ下の高木善朗も「ボールを受けに降りる回数が減り、前での仕事に専念できる」と活躍の理由を証言している。

 5連勝がかかる次節は、東京ヴェルディをホームに迎える。J1時代含め、0勝7分5敗と未勝利の相手だ。今季の新潟は12年ぶりの開幕2連勝を遂げると、22年ぶりの開幕3連勝、4連勝(8連勝で新記録となる)と、勝てなかった過去を払拭しながら勝負強さを示している。次節も白星を手にして、歴史をひとつ塗り替えたい。

取材・文●野本桂子(フリーライター)

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