【広島】浅野と野津田が生む“正のスパイラル”

2015年04月26日 小田智史(サッカーダイジェスト)

「アイツらが入ってきたら、なにか起こるんじゃないかという気がする」(塩谷)

待望の今季リーグ戦初ゴールを挙げた野津田。「ここから自分のリーグ戦のシーズンが始まる」と今後の得点量産に意欲を見せる。 写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

 1-0とリードして迎えた68分、浅野拓磨と野津田岳人の3年目コンビが同時にピッチに送り込まれる。ピーター・ウタカの個人技を起点に、清水に徐々に押し込まれていた状況で、森保一監督がこの交代に込めたメッセージは"反攻"――。指揮官は若いふたりに「運動量を活かして攻守ともに関わっていけ」と指示を出した。

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 直後の71分、浅野が塩谷司のロングボールに猛ダッシュで追いつくと、DF3人とGKを引き付けて、飛び込んできた野津田にパス。利き足とは逆の右足でシュートに行った野津田がミートできずにこの決定機は逃したものの、流れを呼び込むには十分の迫力あるプレーだった。
 
「彼ら(浅野と野津田)の運動量を以ってすれば、必然的に前への推進力は上がる。守備でも彼らがファーストディフェンダーとしてとして動くことによって、周りが連動できた」
 
 森保監督がそう振り返るように、トップスピード時速33.3キロの浅野、28.4キロの野津田が前線から猛然とフォアチェックをかけ、相手のミスを誘ってボール支配率を上げていく。そして80分、浅野、青山敏弘と連動してプレッシャーをかけ、森﨑和幸がクサビを鮮やかにインターセプトすると、パスを受けた浅野が前を向いてDF4人を引き付け、最後は野津田が冷静にゴール右隅に突き刺して追加点を奪った。
 
 ホームで開幕戦以来の勝利を挙げた立役者として、森﨑和が「ふたりが入ってきて一気にまた流れがウチに来たと思う。途中から入ってきた選手が、またチームを前に向かわせてくれたのは大きかった」と賛辞の言葉を送れば、塩谷も「アイツらが入ってきたら、なにか起こるんじゃないかという気がする」と同調する。
 
 浅野と野津田はリオデジャネイロ五輪を目指すU-22日本代表の一員でもあり、ポテンシャルの高さは誰もが認めところだ。浅野はプロ入り後2年間は故障もあって思うような結果が残せなかったが、今季は6節のFC東京戦でリーグ戦初ゴール。昨季はスランプに陥っていた野津田も、今季はナビスコカップ・4節の松本戦で2ゴール・1アシストをマークした。公式戦で結果を残したことで、「自信を持って、活き活きとやっている」(塩谷)本来の持ち味が出始めている。
 

次ページ20歳コンビがチーム力を底上げする呼び水に。

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