A代表初選出の小川諒也。FC東京で奮闘する左SBの持ち味は? そして代表定着への鍵は?

2021年03月18日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

トップチームのデビュー戦でいきなりアシスト

今季もFC東京で左SBの主力として活躍している小川。写真:サッカーダイジェスト

 21年3月25日の韓国戦(国際親善試合)、同30日のモンゴル戦(ワールドカップ・アジア2次予選)に臨む日本代表のメンバーに、FC東京から小川諒也が初選出された。

 ざっとキャリアを振り返れば、流経大柏高からFC東京に加入したルーキーイヤー(15年)でJ1の舞台に立てなかった小川は、続く16年シーズンのACLでトップチームデビューを果たす。

 16年シーズンの開幕前、小川のチーム内序列は左SBの3、4番手だった。磐田から入団した駒野友一、明治大学に在学したままプロ入りを決断した室屋成、さらにCBが本業ながら15年のJ1で数試合左SBを任された丸山祐市らに続く戦力と当初は見られていたのだ。ところが、宮崎キャンプの初日に室屋がいきなり左足骨折で長期の戦線離脱。さらに全北現代とのACL初戦で右足を負傷した駒野がリーグ開幕からの数試合を欠場する見込みとなったため、急きょACLのビン・ズオン戦(3月1日)で先発のチャンスを掴んだのである。

 そのビン・ズオン戦ではCKのチャンスから美しい軌道のパスで、いきなり1アシストをマーク(得点者は前田遼一)。この背景にあったのが太田宏介(当時フィテッセ)の存在だ。「昨季まで(太田のプレーを)間近で見ることができたので、蹴り方のコツ、どこを狙えばいいのか指導してもらった。プロに入ってからこの1年で成長できたと思います」と語った小川は結局、プロ2年目でJ1の18試合、ACLの4試合に出場して16年シーズンを終えている。
 
 太田がフィテッセからFC東京に復帰した17年シーズンはサブに甘んじた小川も翌18年シーズンに再び出番を増やすと、大怪我を乗り越えて臨んだ20年シーズンには左SBの主力として飛躍を遂げた。実際、昨季はチーム内のパス数、クロス数、インターセプト数、走行距離でいずれも1位と結果を残している。

 今季も左SBの一番として君臨する彼は、このタイミングでの代表選出について次のようにコメントしている。

「聞いた時は本当に驚きましたし、嬉しい気持ちもありました。ただ、ここからが勝負だなと。もっと引き締めていかないといけないという気持ちになりました。(24歳で選ばれたことについては)早くも遅くもない感じ。もっと若い頃から呼ばれている選手もいますから、もっと早く入りたかった想いもありますが、自分が呼ばれたタイミングは悪くなくて安心したというほうが強いです」

 小川の持ち味は豊富な運動量、左サイドからの攻め上がり、さらに言えば敵陣深くからのクロスと言える。今回の2試合でも、「攻撃の部分でアシストなりゴールなり結果を求めていきたい」と話したとおり、アグレッシブさをアピールするつもりでいる。
 

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