今季初めての“リードした状態”で、福岡の指揮官は待望の勝点3までいかにチームを導いたか?

2021年03月15日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

「ミーティングも含めて、これまでも話してきています」

徳島戦は立ち上がりに先制を許す展開も、後半に逆転に成功し今季初勝利。長谷部監督は「後半から自分たちの力を少しずつ出せるようになった」と振り返る。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 リーグ戦4試合目にして、ようやく"勝点3"を掴んだ。

 3月13日のJ1リーグ第4節、アビスパ福岡は敵地で徳島ヴォルティスと対戦。それまでの3戦は1分2敗と未勝利の福岡は、開始早々に先制点を奪われる。だが、53分に連動性あるアタックを繰り出し、最後はエミル・サロモンソンが相手GKの股を抜く見事なシュートで同点弾をゲット。さらに68分、PKを金森健志が冷静に沈めて逆転に成功。1点のリードを守り切り、"昇格組対決"を制した。

 68分以降の時間帯は、福岡にとって今季初めてのシチュエーションだった。白星のなかった過去3試合は、ビハインドか、同点の状態での戦いだった。スコア的に自分たちが有利な立場になった時、いかにゲームを進めたか。徳島戦翌日のオンライン取材に応じた長谷部茂利監督は次のように明かしてくれた。

「もう1点、取るか取らないかで、交代した選手も含めて前の選手たちが疲弊しているというか、あまり良い状態ではなかった。だから、このままの流れで時間を経過させるという考えを選手にも伝えていましたし、2-1のまま勝ちに持っていけたら、と」

 このリードをいかに守るか。戦術上の具体的な部分は「ミーティングも含めて、これまでも話してきています」と準備に抜かりはない。「選手たちはそれを実行してくれたと思います」とチームの戦いぶりを称える。
「もちろん、相手はリスクをかけて攻めてきていたので、危ない場面もありましたし、救われた場面もありましたが、そこは上手くゲームをクローズできたかなと思います」

 誤解を恐れずに言えば、これまで勝ち星に恵まれてなかった福岡にとっては不慣れな状況だったかもしれないが、監督・選手たちは、冷静に、浮足立たず、やるべきことを遂行して勝点3を手繰り寄せた。長谷部アビスパの地力が垣間見えた今季初勝利だった。

取材・文●広島由寛(サッカーダイジェストweb編集部)

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