「膝をつくのは品位を落とす行為だ」コートジボワール代表FWの“直立不動”が反響!英3部得点王も「操り人形」と糾弾

2021年03月14日 サッカーダイジェストWeb編集部

「今ではただのルーティーンになってしまっている」

強い信念で“膝つき”を拒否したザハ。(C)Getty Images

 人種差別反対の意味を込めて行なわれている"膝つきポーズ"を、拒否したことで、ひとりの選手が注目を集めている。

 そもそもこのポーズは、2016年のアメリカンフットボールのプレシーズンの際、サンフランシスコ・フォーティナイナーズのQBコリン・キャパニックが国歌斉唱の際に起立せずに座ったことが始まりとされている。アフリカ系アメリカ人に対する警察の残虐行為に対する意識を高めるために行なったというこのジェスチャーは、たちまち全米で話題になり、やがて世界へと広まった。プレミアリーグでは、昨年のリーグ再開後から、試合開始直前にピッチに膝をつくようになっていた。

 今やサッカーファンの間でもすっかりお馴染みとなったこの光景だが、現地時間3月13日に行なわれた第28節、クリスタル・パレス対ウェスト・ブロムウィッチ・アルビオンで"波風"が立った。キックオフ直前、いつものように選手、審判全員がポーズを取るなか、クリスタル・パレスのウィルフリード・ザハだけはひとり、ずっと立ったままだったのだ。英衛生放送『Sky Sports』などが伝えたところによれば、同リーグの選手では初めての行為だったという。

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 これについて、コートジボワール代表FWは強い信念のもとに取った行動だと伝え、行為の裏にあった自らの想いを明かしている。
 
「膝をつくのは品位を落とす行為だと感じている。僕の両親は、何があっても黒人であることを誇りに思うべきだと教えてくれたし、僕たちは堂々としていなければならないと感じている。

 試合前に膝をついているが、それを忘れている人もいる。そう考えると、今ではただのルーティーンになってしまっているんだ。僕にとってそれでは十分ではない。膝をついたり、シャツの背中に 『Black Lives Matter』の文字を入れたりするのはやめようと思う」

 そのうえで、昨年には貧困家庭への食糧支援の一環で政府を動かし、約130万人の子供たちに無料で給食を届けた活動が評価され、大英帝国勲章も受賞したマーカス・ラッシュフォード(マンチェスター・ユナイテッド)の名を挙げ、行動に移すことの大切さも説いている。

「ラッシュフォードは、自分のプラットフォームを持っていて、物事を成し遂げるために突き進んでいる。人によっては、サッカーに専念しろと言う人もいるが、彼があなたの子供を養っているかもしれないのに、どうしてそんなことが言えるんだ? 僕は、せっかくのチャンスなのだから、もっと視野を広げ色々なことをしたいと思っている。それが人々にインスピレーションを与えることになれば、双方にとって良いことだと思う」

 また、昨シーズンはイングランド3部で得点王に輝いたイヴァン・トニー(現・同2部ブレンフォード)も、「膝をついてからどれだけ経っても何も変わらない」と、対策に乗り出さない関係機関へも不満を募らせている。

「僕の目には、僕らが操り人形のように使われているように見える。膝をつけば、上の人たちはしばらくの間休むことができるが、それはとても愚かで、無意味だ。何も変わっていない。今後より対策を推し進めなければならないし、状況が変わることを願っている」

 ザハが言うように、ポーズがただのルーティーンになってしまっては、意味がない。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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