【大宮】家長昭博インタビュー|チームを背負う覚悟(後編)

2015年04月25日 古田土恵介(サッカーダイジェスト)

「調子が悪くても決定的な仕事はできる」

7節の千葉戦で約1か月ぶりに実戦復帰。家長は自身のプレーに、まだ微妙な感覚のズレを感じているようだ。写真:田中研治

 大宮への開幕前の期待を考えれば、J2で6位という現状は満足できるものではない。なかなか浮上のきっかけを掴めないなか、7節の千葉戦で怪我から復帰した家長は「もっと自信を持って戦っていい」と語る。

 "絶対エース"は戦列を離れている間、ピッチの外からなにを見て、なにを感じたのか。チームを背負う覚悟と優勝への想いを、前編・後編に分けてお届けする。

【大宮】家長昭博インタビュー|チームを背負う覚悟(前編)

――◆――◆――

――ご自身のコンディションは60~70パーセントという話でした。大分戦のプレーの出来を振り返っていただけますか?
 
「率直に言えばまだまだでしたし、感覚的、自分の感触的にはそんなに良いものはなかったですね。でも開幕戦以来、久々に90分出たので。チームも勝ちましたし、良いスタートが切れたのかなと」
 
――家長選手だけの感覚というのを、もう少し説明していただけますか?
 
「ミス自体は感覚に左右されません。自分だけの感覚とは、身体の動きや視覚のことです。そこは休んでいたブランクを感じていますね。視野が良い時のイメージより狭かったり、何気ない相手の寄せを早く感じたり。イメージと違うところにボールが出てきて、それに反応できなかったり、あと5センチ分の足が伸びなかったり」
 
――7節の千葉戦は後半から出場して、続く大分戦はフルで試合をこなしました。徐々に感覚を取り戻せていますか?
 
「日々を過ごすなかで勝手に戻ると思いますし、あまり気にしていません。(9節の)水戸戦までに戻そうという気負いもまったくないです。無理をしてなにかがあったら元も子もありませんから」
 
――それも「90分で勝てばいい」とか「シーズンの最後に一番上にいればいい」といったイメージと一緒ですか? 自分を急かさなくても、長い目で見てパフォーマンスが上がれば良いと。
 
「しっかり練習をやって試合を戦っての繰り返しなので、それは変わりませんね。感覚的に悪かったとしても別に問題ないと思っていて、その時々でベストを尽くすことが大事です。1シーズン戦っていれば調子の良し悪しは必ず出てきて、悪い時があっても関係ありません」
 
――悪い時は悪い時なりに良いプレーができるイメージ?
 
「調子が悪くても決定的な仕事はできると思っています。良い時のプレーと比較する必要はありませんし、そこは僕もあまり関係ないと考えています」
 
――キープができ、タメを作れ、決定的な仕事をこなす。大宮の選手たちからは、そんな家長選手の復帰を歓迎する声が聞かれます。離脱中に外から見ていて、自身やチームに物足りなさを感じたりしましたか?
 
「復帰を歓迎してもらえるのは有り難いですね。ただJ2で6位のチームで、現状に満足するのはあり得ないです。個人としても、チームとしても物足りないものばかりだと感じています。ただプロですから、こうしよう、ああしようって思案するのはそれぞれですれば良い。日本代表を目指したり、強豪や海外クラブに移籍したい選手もいると思いますし、一人ひとりが向上心を持ってやれればもっと良いチームになる。
 
 若い選手が海外移籍だったり、日本代表に入ったりできるようなクラブになっていかないといけないと思いますし、そうやって選手がクラブに価値を付けていかないといけません」

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