「試合で力を発揮できない」という評価を覆した久保建英。スペイン人記者が読み解く「ロングボール戦術でのクボの活かし方」【現地発】

2021年03月13日 ラディスラオ・ハビエル・モニーノ

「交代選手に求められるカンフル剤としての役割を果たす」

バジャドリー戦で後半頭からピッチに立ち、チャンスを作り出した久保。(C)Getty Images

 前節のバジャドリー戦で後半頭からタケ・クボ(久保建英)はプレーした。ヘタフェが1点のビハインドを背負い、反撃に転じなければならない状況で、ホセ・ボルダラス監督は攻撃陣のテコ入れを図るために投入し、タケは何度かチャンスに絡んだ。

 周りの状況もタケに味方した。ヘタフェはこの時間帯、前線からのプレスが機能し、ロングボールを放り込んだ後のセカンドボールの奪い合いにおいて優位に立っていた。ここ試合に比べて、ラインを高く保ちコンパクトなサッカーが展開できていた。

 タケがレアル・マドリーに加入したのは2019年夏。その溌剌としたプレーは周囲の注目を集めた。ただ同時にマドリーの首脳陣には練習で披露するパフォーマンスが実戦(強化試合)で発揮できない点が不満に映っていた。タケは練習のほうが力を発揮する選手――。いつしかそんな評価がマドリーで定着した。

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 しかし、バジャドリー戦では交代選手に求められるカンフル剤としての役割を果たした。ヘタフェは同点ゴールが遠く、1対2で敗れたとはいえ、こうしたプレーを続けていけば、自ずと評価も覆っていくはずだ。

 スタメン奪回への期待ももちろん高まるが、今夜の相手は首位のアトレティコ・マドリーだ。毎回ヘタフェとは激しい肉弾戦を繰り広げる難敵である。

 試合前日の12日、記者会見に臨んだボルダラス監督は「選手たちはチームが進むべき道というものを理解する必要がある。われわれが長く歩んできたものであり、今後も同じシナリオを辿り続けていかなければならない。重要なのは先制点を奪われないこと。(アトレティコは)リードを許すと逆転するのが困難な相手だからね」と発言している。

 ラ・リーガでも屈指のプレー強度を誇る相手に対抗するため、4-4-2を維持する公算が高く、さらにバジャドリー戦で累積警告により出場停止だったマルク・ククレジャが復帰する。今夜、タケがスタメンに名を連ねる可能性は低いだろう。

 一方、敵将のディエゴ・シメオネはヘタフェについてこう印象を述べている。

「ヘタフェが快進撃を見せていたころの強さを取り戻しつつある。チーム一丸となってひたむきに激しくボールを奪うアグレッシブな戦いをね。旺盛な相手のファイティングスピリットにどう立ち向かうか。ボルダラスが率いるチームと対戦する時、常に直面するテーマで、今回もそのことに変わりはない」

 ちなみにシメオネが2011年12月にアトレティコの監督に就任して以来、ヘタフェはいまだに得点を記録していない。

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