【強豪校レポート】静岡学園|持ち味を前面に『超攻撃サッカー』を目指す

2015年04月24日 安藤隆人

川口監督「一番大事にしているのは選手の育成。選手権で勝つことが最大の目標ではない」

静岡学園は1963年に創立し、65年に現校名に。76年度の高校選手権で初出場準優勝を果たし、95年度の選手権では鹿児島実との両校優勝で日本一に輝いている。

 4年ぶりに出場した昨年度の選手権ではベスト8入り。お馴染みの緑色のユニホームがピッチに躍動した。貴重な経験を積んだ新3年生を軸に、新たなシーズンのスタートを切った静岡学園。今年は持ち前の攻撃サッカーをさらに進化させていくつもりだ。「進化」への挑戦を続けるチームの現状と注目のポイントを、川口修監督へのショートインタビューと今季のキーマンから紐解く。
 
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■川口修監督インタビュー
 
――昨年度は選手権でベスト8という結果を残しました。改めてその戦いぶりを振り返っていかがですか?
 
「選手権での収穫は、最後に懸ける一人ひとりの想いがグッとひとつになって、チームが一枚岩になっていく過程を見られたことでした。これは県大会では味わえないもの。選手権の静岡県代表になったからこそ、一致団結してもっと頑張ろうという姿勢が見えた。県で負けてしまったら、そこまで辿り着けませんし、それはかなりの収穫だったと感じています」
 
――選手権は最後の集大成となる大会だけに、内容はもちろん結果も求めたいところではありますよね。
 
「我々の目指しているところは『オンリーワンのチーム』です。オンリーワンというのは、他が真似できないサッカー。ウチのサッカーを真似しようとしても、それができないサッカーを目指しています。
 
 ただ、選手権はトーナメントなので、ひとつでも多く勝てば、多く試合ができる。ウチはベスト8で負けて、あと2つ勝てば決勝に行けました。そこで凄く悔いが残っているのが、選手交代も含めた選手権のトーナメント仕様で勝負してもよかったのかなと感じます。それは指導者として勉強になったところです」
 
――チームとしても川口監督としても、選手権から得たモノは大きかったようですね。
 
「ただ、一番大事にしているのは選手の育成であって、選手権に勝つことが最大の目標ではありません。育成をしながら、チームを作り、静学スタイルを作りながら、最後の選手権で初めて、自分たちの力を表現していく。このスタンスは変えないで、今年もやっていきたいと思います」
 
――今年はどんなチームになりそうですか?
 
「やはり、ウチの一番のストロングポイントは攻撃です。これだけは譲らない。守備ではないし、リアクションでもない。アクションサッカー。攻撃を軸にチーム作りを考えているのですが、去年は選手の良さを出すために、3バックを採用していました。今年は去年とまた違って、前に良い選手が揃っているので、『超攻撃サッカー』をしたいですね。攻撃サッカーをもっと進化させていく。今年はそうした発想を持っています」
 
――昨年は下級生が試合に出てどんどん伸びていった印象があります。
 
「アタッカーでは、1、2年生の選手がチャンスをもらった時に、ググッと伸びてきました。特に今年の新3年生は、使った時点でどんどん伸びていき、自信を付けて選手権でも何試合か出た選手がいました。厳しい競争を勝ち抜いて、何人も試合に出ているので、そこは強いですね。
 
 そのメンバーが今年の軸になり、特に加納澪、旗手怜央、鹿沼直生の3人が核になります。例年は主軸に続く選手がいなくて物足りないチームになるのですが、今年はその後に続く選手たちもまったく遜色も無いですし、追い抜く力すら持っていると思います。そのような選手が周りにいるので、うちの表現したいサッカーがやりやすいと思います」

次ページ巧みなビルドアップも見せる静岡学園のキーマン。

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