「目指すべきは川崎だ」復興応援試合で差を見せつけられる大敗…仙台・手倉森監督がそれでも強気の理由

2021年03月07日 小林健志

「10年前に勝たせてもらった借りを返すことになりました」

東日本大震災の犠牲者に黙祷を捧げる手倉森監督。川崎戦の大敗にも強気の姿勢は崩さなかった。(C) J.LEAGUE PHOTOS

[J1リーグ2節]仙台1-5川崎/3月6日(土)/ユアスタ

 3月6日に行なわれたJ1リーグ2節のベガルタ仙台対川崎フロンターレ戦は「復興応援試合」と銘打たれ、東日本大震災から10年の節目で、震災復興を祈念する試合となった。10年前震災後最初のリーグ戦が同カードだったという縁があったため、当時仙台の選手として試合に出場し、同点ゴールを挙げた太田吉彰氏や、川崎の選手として試合に出場した中村憲剛FRO(フロンターレ リレーションズ オーガナイザー)がサッカー教室やトークショーを試合前に行なうなどして会場を盛り上げた。加えて8シーズンぶりに指揮を執る手倉森誠監督のホーム初采配ということもあり、チケットは完売。9,005人の観客を集め、仙台としては大きな期待感を持って迎えた試合だった。

 しかし、昨季のJ1リーグ・天皇杯王者川崎の勢いに、仙台はのまれてしまった。12分FW小林悠のゴールを皮切りに、前半だけで4失点。手倉森監督は後半開始時、3人の選手を入れ替え反撃に転じ、58分にはMF上原力也の移籍後初ゴールで一矢報いたが、終盤川崎が主力選手を投入すると、DF旗手怜央にゴールを許し、1-5と大敗を喫した。手倉森監督のホーム初陣は厳しい結果となった。

 この大敗を受けて手倉森監督は「ベガルタ仙台にとって、両チームにとって特別なゲーム。ホーム開幕で王者川崎になんとか牙を剥いて勝利を届けたいと思いましたが、10年前に勝たせてもらった借りを返すことになりました」と会見冒頭で語った。
 さらに、「打ちのめされた前半でしたが、それでも打たれ強さを見せねばという話をして、最後まで戦い抜いた選手たちは身をもって王者の強さを思い知らされたと思います」と続ける。ハーフタイムでもう一度選手の士気を上げ、攻守で修正を図り1点を返すまではできたが、現状の実力差を見せつけられる結果となった。

 しかしそこは負けず嫌いの手倉森監督。この結果を受けても強気の発言が飛び出した。「試合後選手たちには、ここ(川崎)を目指すべきだと言いました。これがこのカテゴリーのトップの力だとしっかり身体に染みこませて、そういったものを育み、できるようにならないといけません」とこの日の川崎のような力強さを見せたいと意気込んだ。さらには「8季ぶりの采配で、ホームでこんな大敗も初めてでしたが、もう二度と(ホームで)負けない。ユアスタで最後の負けにしようと言いました」と今後ホームで負けないチームを目指すと語った。

【動画】仙台vs川崎戦ハイライト

次ページJ2から5年でACL出場を実現した実績を持つ指揮官は、再びチームを立て直せるか

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事