J1の5クラブが争奪戦を繰り広げた九州のスピードスター。背番号13の矜持と大分トリニータを選んだワケ

2021年03月05日 安藤隆人

鵬翔高、宮崎経営大、そしてデンチャレ九州選抜でも「13」を背負う

来季の大分入団が内定している宇津元。スピードが魅力のストライカーだ。写真:安藤隆人

 背番号13を背負っている意地がある。プロに内定した選手としての意地がある。

 デンソーチャレンジサッカー熊谷大会(以下・デンチャレ)で九州選抜の一員として出場をした宮崎経営大3年生のFW宇津元伸弥は、この大会の5日前に2022年シーズンからの大分トリニータ加入内定を発表した。

 彼が九州選抜で背負っている番号は13番。これは彼の出身校でもある鵬翔高の伝統的なエースナンバーである。
「鵬翔において13番は試合を決定づけることができる選手。逆にそう言う選手ではないと背負えないと思うので、自分には大きな責任があると思います。(13番を背負えて)嬉しいと思う反面、プレッシャーはものすごくあります」

 かつて興梠慎三(現・浦和レッズ)も背負っていたこの伝統ある番号を、高1の時にU-15日本代表にも選出されていた宇津元は引き継いだ。当時彼はこのようにその意味について語っていた。

 宮崎経営大に進んでからも13番を背負い、2年生だった2019年は九州学生リーグの得点王とアシスト王をダブルで獲得。昨年は最終戦でライバルである鹿屋体育大のFW根本凌(湘南ベルマーレ内定)に追いつかれてしまい、単独ではなくなったが、2年連続の得点王を獲得した。

 そしてデンチャレでも13番を選んだ。彼にとって13番を背負うことは、チームの勝利に対する責任を負うということを意味する。常にその自覚を持って歩んできたからこそ、彼は大学で大きな結果を残し、J1の5クラブから熱視線を浴びるまでの存在となった。

「僕の持ち味はスピード。そこに関しては大学3年間を通して、どうすればスピードが上がるのかと、常に追求をしてきました。自分の走り方の映像を見て、どこが悪いのかをしっかりと見極めて、そこを改善して徐々にスピードアップしてきた。まだまだ成長できると思っていますし、技術面も含めて成長して結果を残せる選手になりたいです」

 ただ速いだけの選手はいくらでもいる。彼の最大の特徴であり魅力はスピードの緩急の付け方にある。連続したスプリントで相手を追い込んだり、スペースに潜り込む一方で、急にストップしてボールを引き出してから、ワンタッチで叩いて抜け出したり、そのままドリブルで加速したりと、持ち前のスピードを状況に応じてギアチェンジしながら前への推進力に変えられる。だからこそ、多くのJクラブから高い評価を得ることができたのだ。

【PHOTO】期待の新人勢揃い!2021シーズンJクラブに入団する「高校&大学・新卒ルーキー」をチェック!

次ページ「2年生の時から2年間を通してリーグ戦全試合を見に来てくれた」

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事