なぜ、ハノーファーに原口元気が欠かせないのか? 今夏の去就問題で浮彫りになる「背番号10」の存在感【現地発】

2021年03月06日 中野吉之伴

1部昇格を目指すハノーファーは現在8位に沈む

今シーズンは全試合に先発している原口。今夏の去就が話題を集めている。(C)Getty Images

 原口元気の今夏の去就に関して、ドイツでも様々な噂が流れている。

 先日は日本のニュースで誤訳した記事も見つけたが、ドイツ・メディアの『SPORTS BUZZER』は「ハノーファーの目標である1部昇格はかなり難しいものとなってしまった」と伝え、チームの来シーズンを心配する内容の記事を公開していた。

「これからのハノーファーは、来シーズンまた2部でプレーするためのプランをしていくことになるだろう。とりわけ心配となるのが中盤だ。ゲームメーカーである原口元気は、チームを去ることになるかもしれない。そうなればチームにはゴールへの危険性、スピード、遊び心のあるプレーが欠けてしまうことになる」(『SPORTS BUZZER』)

 このチームにとって原口がどれほど重要な選手なのか。それは、地元記者がどう書いているかを探るまでもなく、試合を見れば分かる。今シーズンはトップ下を中心にプレーをし、リーグ全試合でスタメン起用。監督からの信頼は全幅で、チームに欠かせない存在になっている。
 
 改めて考えてみよう。なぜ、ハノーファーには原口が欠かせないのか?

 試合を有利に進めるためには、ゲームの流れを掌握することが大切だ。そのためには、ボールと人の動きを、自分たちのゲームプラン通りにコントロールすることが必要になる。どのクラブの監督も、そのためにチームに戦術を浸透させ、試合に応じた戦略を練り上げる。当然、相手にゲームの流れを掌握された時の対策も講じているものだ。

 ただ、ボールを保持して敵陣内まで持ち運べても、相手チームがきっちり対応してくる場合、攻撃面で変化をもたらせる選手がいなければ、なかなか得点機を作り出すことは難しい。ハノーファーで、そのカギを握っているのが原口なのだ。

 今シーズンは5ゴール・5アシストというスコアポイントを残している10番について、『SPORTS BUZZER』は「チームにアイデアをもたらし、ゲームを操舵。そして疲れを知らずに走る続けることができる選手だ」と評している。加えて、状況に応じ、局面ごとにどんなプレーが求められているかを瞬時に認識し、プレーに落とし込むことのできる点も頼もしい。

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