「あれ? 大丈夫?」。優勝候補らしからぬパフォーマンス。今のFC東京で圧倒的に不足しているのは…

2021年03月04日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

インサイドハーフの得点力アップもそう簡単に実践できない

浦和のアグレッシブな守備に苦しんだ開幕戦。FC東京はなかなか良い形で攻撃を仕掛けられなかった。写真:サッカーダイジェスト

 「あれ? FC東京、大丈夫?」。これが浦和とのリーグ開幕戦、徳島とのルヴァンカップ初戦のパフォーマンスを見ての、率直な感想だ。

 昨季のルヴァンカップ決勝の出来が良く、それに引っ張れる格好で「今季は例年以上に期待できる。リーグ制覇もある」と予想していたが、今季の公式戦2試合を終えた段階では「ん?」という感じである。

 確かに長谷川監督が徳島戦後に「ほとんどシュートを打たせていない」というとおり、守備はそこまで問題ないように映る。浦和戦でも1失点したとはいえ、大崩れしたシーンはほとんどなかった。

 問題は攻撃だろう。D・オリヴェイラやレアンドロら助っ人がまだ本調子になく、それがモロに出る形で停滞している印象だ。田川、永井、紺野の3トップで臨んだ徳島戦でも綺麗な崩しは数える程度だった。

 長谷川監督が「目標は60ゴール」と述べているのも、得点力アップこそリーグ優勝への大きな鍵と考えているに違いない。では、そのための改善策は? 選手個人の決定力を高める、インサイドハーフがより決定機に絡むといったあたりが解決策になるだろうが、とはいえそう簡単には実践できないだろう。

 
サッカーは攻守一体のスポーツ。例えばインサイドハーフが攻撃に専念するようだと守備のバランスが崩れる恐れがある。インサイドハーフの得点力アップといっても、インサイドハーフだけではなく、チームそのものの課題となるのだ。

 今のFC東京に足りないのは、攻守の切り替えの早さではないか。素早いポジティブトランジション(守→攻の切り替え)が圧倒的に不足している印象で、実際、仕掛け/崩しの局面でスムーズにいかなかった浦和戦と徳島戦でも流れの中からあまりチャンスを作り出せなかった。

 もっとも、負けても不思議はなかった浦和戦を1-1で乗り切り、徳島戦を1-0でモノにしており、勝点を奪えてはいる。まだシーズンは始まったばかりで、百戦錬磨の長谷川監督のことだ。こうした停滞をも織り込み済でチーム作りを進めるに違いない。

 さて、どのあたりから、FC東京はギアを上げてくるだろうか。いずれは優勝候補のひとつに相応しい実力を見せつけてほしい。

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)

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