「タケが救世主扱いされるのが面白くない選手も…」久保建英はなぜ出番が激減したのか? スペイン人記者が明かす舞台裏【現地発】

2021年03月03日 ラディスラオ・ハビエル・モニーノ

ボルダラスの続投を支持したのは会長ただ一人だった

出場時間が減る一方の久保。打開策はあるのか? (C) Getty Images

 前節のベティス戦の敗戦(0-1)を受けて、ヘタフェのクラブ内ではホセ・ボルダラス監督の進退を巡り激論がかわされた。実質続投を支持したのはアンヘル・トーレス会長ただ一人。他の幹部、アドバイザー、友人は一様に即解任を主張したが、ヘタフェの近年の戦績を見てもらえれば分かるとおり、アンヘル・トーレス会長はシーズン途中に監督を交代することに常に否定的なスタンスを取ってきた。

 さらに、チームが失速しているのは事実だが、降格ゾーンに足を踏み入れているわけではない。また解任(現行契約は2022年6月まで)すれば、300万ユーロ(約3億7500万円)に設定されている契約解除金を支払わなければならず、そうした事情を勘案し周囲の反対を押し切る形でアンヘル・トーレス会長は続投に踏み切った。

「今まで放置をしていた問題を指摘し合った」とマウロ・アランバリが認めたように、その間、中心選手が音頭を取って何とか一致団結しようとチーム内でもミーティングが開催され、次の決戦に備えていた。

 一部のメディアで報じられているように、ヘタフェがミチェルと話し合いの場を持ったことは事実だ。前回監督時代(2009年~11年)からアンヘル・トーレスにとってはお互い気心の知れた間柄でもある。ただ現状は来シーズンに向けたアプローチという側面のほうが強く、名前は明らかになっていないが、次期監督の最有力候補としてリストアップしている人物がもう一人いる。

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 ここまでボルダラス監督の進退を巡るクラブ内での駆け引きをレポートしてきたのは、この問題が現在タケ(久保建英)の置かれている状況と密接に関係するからだ。率直に言って、ボルダラスが続投することは、出場機会を増やしたい一心のタケにとってバッドニュースだ。したがって大一番となったバレンシア戦での勝利(3-0)もプラスに作用することはない。

 タケはカルレス・アレニャと同様にこの一戦もベンチスタート。ともに4試合連続で、おまけに揃って出番が回ってきたのは試合の行方が決した後だった。

 すでにボルダラスは交代枠を二枚使っていたが、いずれもCBのエリック・カバコからCBのソフィアン・チャクラ、FWのエネス・ウナルからFWのクチョ・エルナンデスという同じポジション同士のもの。4-4-2システムを動かしたくないという指揮官の心理が伺われ、ダビド・ティモールとともにタケとアレニャが投入されたのは85分だった。しかもアレニャはダメ押しの3点目を決めてアピールに成功する一方で、タケの放ったシュートはポストに嫌われた。
 

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